モグラ談

40代のリベラルアーツ

【映】卍(増村保造)

谷崎原作の映画化。光子役に若尾文子、園子役に岸田今日子。1964年/90分/日。 原作に忠実。ストーリーもセリフもひとつひとつ同じ。原作に比べ圧縮されるが、光子が妊娠していないことを告げるタイミングと、梅子の役割以外は原作そのままではないか。製作…

【映】パターソン(ジム・ジャームッシュ)

「ブラック・クランズマン」のアダム・ドライバーがよかったので、ウォッチリストから。2016年/118分/米。 超久しぶりのジム・ジャームッシュ作品。学生のときに好んでみていたのを思い出す。前回観たのは、「コーヒー&シガレッツ」だったか。 静かにはじ…

【映】プライドと偏見(ジョー・ライト)

「つぐない」に続き、文学原作×ジョー・ライト監督&キーラ・ナイトレイ主演作品。キーラ・ナイトレイが次女エリザベス役、父親役にドナルド・サザーランド。2005年/125分/英 たしかにフェミニズムの教材。当時の意識・慣習に軽く腹立たしさを感じながら観…

【映】ブラック・クランズマン(スパイク・リー)

ひさしぶりのスパイク・リー作品。製作はジョーダン・ピール。ジョン・デビット・ワシントン主演、アダム・ドライバー助演。カンヌグランプリ。2018年/135分/米 黒人刑事が白人至上主義団体「KKK」潜入捜査した実話をつづったノンフィクション小説を、「マ…

【映】それでも夜は明ける(スティーブ・マックイーン)

「SHAME」のスティーブ・マックイーン作品。製作にブラッド・ピット。アカデミー作品賞受賞作、2013年製作/134分/米英合作 拉致され南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活をつづった伝記の映画化。南北戦争直前の世界。 …

【映】MINARI

ウォッチリストから。タイトルのMINARIは、韓国語でセリの意味。最近よく観るスティーヴン・ユアン主演。アカデミー賞で計6部門にノミネート、祖母スンジャを演じたユン・ヨジョンが助演女優賞。2020年/115分/米 1980年代のアメリカ南部を舞台に、韓国出身…

【映】PLAN75(早川千絵)

ウォッチリストから。75歳以上が自ら生死を選択できる制度が施行された近未来の日本を舞台に、その制度に翻弄される人々の行く末を描く(映画com)。2022年/112分/日・仏・フィリピン・カタール合作。 いろいろ思考が飛ぶ。ロールズ、ベンサム、あるいは、…

【映】アナザーラウンド(トマス・ビンターベア)

マッツ・ミケルセン版のハングオーバーかな、と勘違いするも、よい意味で裏切られた。アカデミー賞国際長編映画賞。2020年/115分/デンマーク。 冴えない高校教師のマーティンと3人の同僚は、た「血中アルコール濃度を一定に保つと仕事の効率が良くなり想像…

【映】サンザシの樹の下で(チャン・イーモウ)

「紅いコーリャン」「活きる」などのチャン・イーモウ監督作品。2010年/114分/中国。 文革の影響を基底に愛し合う二人を描かせたらイーモウ監督。本作でも主人公の女子高生ジンチュウが文革下の再教育として送られた農村で青年スンに出会いひかれあう。身…

【映】NOPE(ジョーダン・ピール)

「ゲット・アウト」「アス」のジョーダン・ピール監督長編3作目。「ゲット・アウト」のダニエル・カルーヤ主演。「バーニング」のスティーブン・ユアンもちょこっと。2022年/131分/米。 田舎町で牧場を経営するヘイウッド家。ある日、突然空から異物が降り…

【映】セラヴィ!(エリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュ)

前から気になっていた作品をウォッチリストから。「「最強のふたり」の監督が描くコメディドラマ。ジャン=ピエール・バクリ主演。2017年/117分/仏。 引退を考え始めたベテランウェディング・プランナーのマックスは、古城を式場にした結婚式をプロデュー…

【映】リチャード・ジュエル(クリント・イーストウッド)

「運び屋」に続きイーストウッド作品。ポール・ウォルター・ハウザー主演、主人公の母をキャシー・ベイツ、弁護士役を「スリー・ビルボード」のサム・ロックウェル。2019年/131分/米。 ‘96年アトランタでの爆破テロ事件を扱ったサスペンス。警備員のリチャ…

【音】エリアス弦楽四重奏団ベートーヴェン・サイクルⅠ~Ⅵ(サントリーホール2023/6/14)

アンサンブルを聞きたくチェンバー。エリアス弦楽四重奏団は1998年マンチェスター結成でベートーヴェンの弦楽四重奏曲をレパートリーの中核に据えてきたとのこと。 全6公演の最終日。この日は、4番、10番、13番。調和よく上下する4名の弓がメンバーのコラボ…

【美】部屋のみる夢 ボナールからティルマンス、現代の作家まで(ポーラ美術館)

移動が制限された状況で多くの人が多くの時間を過ごした「部屋」という空間に注目し、19世紀以降のこれにまつわる作品をとりあげる。モリゾ、ハマスホイ、ボナール、ヴュイヤール、マティス、ティルマンス、草間彌生など。 ハマスホイの“陽光の中で読書する…

【美】-意識のながれ-岩田壮平日本画展 ほか(成川美術館)

恒例の箱根美術館めぐり。まず成川から。企画展の岩田壮平は華道に原点をもつ日本画家。 “大胆、繊細、高揚感”“内面の表出よりむしろ企てられた形と色の解釈”“絵の具そのものがもつ感情を組み立てる喜び”と、同氏の紹介文にあった表現にひとしきり納得。 お…

【美】ルーブル美術館展 愛を描く(国立新美術館)

神話画、風俗画、宗教画など、様々な主題で表現されてきた「愛」。ルーブルのコレクションから、16~19世紀半ばまでの73点を通して浮き彫りにする。テーマオリエンテッドな趣向の展覧会。サブタイトルは、”ルーブルには愛がある”。音声ガイドは、満島ひかり…

【映】運び屋(クリント・イーストウッド)

クリント・イーストウッド作品。90歳手前でメガホンをとり主演。脚本は「グラン・トリノ」のニック・シェンク。共演にブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシアなどの大物。実の娘のアリソンも劇中で娘役の出演。2018年、1…

【映】ベルファスト(ケネス・ブラナー)

「ハリポタ」「ダンケルク」出演のケネス・ブラナー監督作品。「ヘンリー5世」「オリエント急行殺人事件」などで監督兼主演の才能。本作でアカデミー脚本賞。「007」M役のジュディ・デンチ助演。2021年、98分、英。 北アイルランド紛争で波乱に見舞われたベ…

【映】ダンケルク(クリストファー・ノーラン)

ドイツ侵攻を受け、仏ダンケルクから英兵の大規模脱出を描く。「ダークナイト」「TENET」のノーラン作品。2017年、106分、米。 セリフよりも銃声、銃声よりも静寂が作品全体を支配する。独特な空気。緊迫感を生む。 浜辺に追い詰められた兵士。逃げ場がない…

【映】バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ)

「バベル」「21グラム」のイニャリトゥ作品。アカデミー作品賞、監督賞ほか(’15)。マイケル・キートン主演。エドワード・ノートン、ナオミ・ワッツ、「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーンなどが脇を固める。2014年、120分、米。 ヒーロー映画「バードマン」…

【映】リリーのすべて(トム・フーパー)

「英国王のスピーチ」でアカデミー賞を受賞したトム・フーパー監督と、「博士と彼女のセオリー」でアカデミー賞の主演男優賞を手にしたエディ・レッドメインが、「レ・ミゼラブル」に続いてタッグを組み、世界で初めて性別適合手術を受けたリリー・エルベの…

【映】スプリング・フィーバー(ロウ・イエ)

“天安門事件を題材にした「天安門、恋人たち」で2006年に中国当局から5年間の映画製作禁止を言い渡されたロウ・イエ監督が、当局の目をかいくぐって手持ちカメラによるゲリラ撮影で撮りあげた心理サスペンス”(映画.com)。2009年、115分、中・仏合作 恋愛の…

【美】セタビの森の動物たち わたしたちは生きている!(世田谷美術館)

アーティストの恰好のモチーフとなってきた動物たちをコレクションから。散歩がてら拝観。 入口で地元の小学生の動物の製作がお出迎え。いきいきしている。ほのぼのする。 柳原義達の「道標・鴉」。軽い恐怖を先入観にもってしまう鴉。取り払って観るとその…

【映】バビロン(デイミアン・チャゼル)

久しぶりに妻と映画館。「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル作品。ブラピ、マーゴット・ロビー出演。トビー・マグワイアもちょい役で登場。「ラ・ラ・ランド」のジャスティン・ハーウィッツの音楽が3時間超惹きつける。2022年、189分、米。 1920年代の…

【美】日本の風景を描く-歌川広重から田淵俊夫まで-

日本の自然や風景を題材にした江戸から現代までの作品を展示。 平安以来、日本の風景画は写実よりも心象やイメージをのせてきた。江戸後期に街道が整備され旅への意識が広がる。宿場を描いた広重の浮世絵風景画の人気の背景。明治以降、西洋技法を学んだ画家…

【音】オルガンプロムナードコンサート(サントリーホール 2023/2/9)

奏者は秋本奈美さん。デュリフレ、バッハ、ベダール、モーツアルトより。 奏者の真横の二階席から。両手両足の動き、波打つ体の軸、肩から指先に流れ込む感情まで感じられる。 モーツアルトまでの3曲はとても短い。壮大で力強いデュリフレ、穏やかな物語が進…

【映】第三の男(キャロル・リード)

映画ランキングで常にあがってくる一作をアマプラで。戦後分割統治されたウィーンを舞台としたノワール。カンヌグランプリ。1949年、105分、英。 終戦直後、分割統治下にあったウィーンに親友ハリー・ライムを訪ねてきた作家のホリー。ハリーの家に着くとハ…

【映】パリの調香師 しあわせの香りを探して(グレゴリー・マーニュ)

“挫折した天才調香師が人生崖っぷちな運転手との交流を通して再生していく姿を、ディオールの撮影協力&エルメスの専属調香師監修のもと描いたヒューマンドラマ“(映画.com)。2019年、101分、仏。 調香師アンヌ役のエマニュエル・ドゥボス、初見。専門職の…

【映】戦場のピアニスト(ロマン・ポランスキー)

フランクルの「夜と霧」を再読し、ふと思い出して観る。ユダヤ教徒の父を持ち、幼少時にゲットーに移され、強制収容所に送還された両親をもつロマン・ポランスキーの代表作。アカデミー監督賞、主演男優賞など。2002年、148分、仏・独・ポーランド・英合作。…

【映】TINANEチタン(ジュリア・デュクルノー)

衝撃のB級映画!パルムドールということで観てみたが・・・。2021年、108分、フランス・ベルギー合作。 幼少時の交通事故で頭にチタンを埋め込まれたアレクシア。以来、車に執拗な欲情を頂き、なにものかを宿す。殺人を犯し逃亡の末、息子を失い失意に生きる…