モグラ談

40代のリベラルアーツ

2020-01-01から1年間の記事一覧

【本】1984年(ジョージ・オーエル, 高橋和久訳)

書籍情報 【概要・雑感】 一度は読んでおこうと思っていたディストピアもの代表作。AI時代になにかと引き合いにだされる。図書館の予約がようやくまわってきたので読了。 監視社会の様相が知られるところだが、ディストピアの本質は、権力にとって悪しき行い…

【本】アダム・スミス 「道徳感情論」と「国富論」の世界(堂目卓生)

書籍情報 【概要】 年末年始は資本主義を考える近年、今年は国富論(山岡洋一訳)に手を伸ばしたが、長丁場になりそうなので、まず新書を読了。 著者の堂目卓生氏は、大阪大学大学院経済学研究科の教授。紫綬褒章受賞(2019)、本書でサントリー学芸賞受賞。…

【美】眠り展(東京国立近代美術館:2020/12/26)

開催情報 【概要・雑感】 娘が理科実験している間に訪館。上野や京都などの国立美術館共催企画第三弾。副題は、「アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで」。“「眠り」に関連して生み出された表現は、起きている時とは異なる視点で、私たちの…

【美】東山魁夷と四季の日本画(山種美術館:2020/12/25)

開催情報 【概要・雑感】 年末年始は郷土や日本の美を想い起こす時期。ということで、いつも素晴らしい企画の山種美術館。今回は頑張ってチャリで激走。 “青の画家”と称された戦後の国民的画家、東山魁夷。群青の豊かさ、美しさ、静謐、境界のやさしさ。静音…

【映】劇場版「鬼滅の刃」夢幻列車編(TOHOシネマズ日比谷:2020/11/13)

開催情報 【概要・雑感】 天邪鬼につき、ようやく接触。アマゾンでTV放映分をいっきに観て、その流れで映画館に。煉獄さん、サイコー。エンドロールで涙。 アニメ初見時は、東京喰種と彼岸島に少年ジャンプ色を足した印象か、などと評論家ぶっていたが、いや…

【美】桃山 天下人の100年(東京国立博物館:2020/11/13)

開催情報 【概要・雑感】 茶の湯に興味をもちはじめたところ、とてもタイムリーでありがたい企画。はじめての国立東京博物館平成館。敷地にはいると、美しく色づくユリノキが迎えてくれた。 室町の終焉から江戸までの30年。豪壮、絢爛のイメージのある桃山文…

【本】夏への扉(ロバート・A・ハインライン, 福島正実訳)

書籍情報 【概要・雑感】 SF小説の御三家は、クラーク、アシモフとハインラインと知り、ハインラインは未読だったので興味を持ち読了。著者(1907-1988)は、アメリカのSF作家。“科学技術の考証を高水準にし、SFというジャンルの文学的質を上げることに貢献…

【本】平成の経済(小峰隆夫)

書籍情報 【概要】 書評で評価が高かったので読了。日本経済新聞出版社企画の平成3部作の一冊(ほかは「平成の政治(御厨貴、芹川洋一編著)」「平成の経営(伊丹敬之著)」。読売・吉野作造賞受賞作。 著者は、元経企庁職員。物価局長、調査局長を歴任。本…

【美】The UKIYO-E 2020(東京都美術館:2020/8/27)

開催情報 【概要・雑感】 国内では大衆画として、欧米には印象派画家以来、影響を与えてきた浮世絵。国内で充実したコレクションを有す、太田記念美術館、日本浮世絵博物館、平木浮世絵財団のコレクションを結集し、約450点を展示(春画はなし)。音声ガイド…

【美】さくら 美術館でお花見!(山種美術館:2020/8/25)

開催情報 【概要・雑感】 オリパラ開催に伴い企画された特別展だが、会期を変更して開催。日本人の美意識に深く結びついた桜に焦点をあて、近現代の日本画50点を展示。素晴らしい企画!音声ガイドは安井邦彦さん。 春の訪れを感じさせる桜。四季の変化と生活…

【美】月岡芳年 血と妖艶(太田記念美術館:2020/8/25)

開催情報 【概要・雑感】 幕末から明治前半に活躍した芳年。“血みどろ絵”、“残酷絵”で知られ、乱歩や三島などを惹きつけたとされるが、いやいや美人画もなかなか。本展覧では、「血」「妖艶」「闇」にわけて約150点展示。ひとつひとつの作品に丁寧な解説がつ…

【映】ドラえもん のび太の新恐竜(109シネマズ二子玉川:2020/08/24)

開催情報 【概要・雑感】 世界に誇る究極の汎用型ロボット、ドラえもん。ハンカチ握りしめて娘と鑑賞。川村元気さん脚本、主題歌はミスチル。これまでにない迫力、今風の演出(ジブリ風の演出も垣間見られたがそのくらいではゆるがない)。ピー助のゲスト出…

【本】人口減少時代のデザイン(広井良典)

書籍情報 【概要】 やはり少子化が社会課題の根源だ、ということで広井先生の近著を読了。 著者は、人口減少下での社会保障問題に警鐘を鳴らし続けてきた。 本著は、日本の人口減少の特色を踏まえ、持続可能性を高めるための社会保障、医療、都市政策、価値…

【本】AIには何ができないか(メレディス・ブルサード著,北村京子訳)

書籍情報 【概要】 日経の書評を見て購入・積読していたものを読了。 著者は、ベル研やMITメディアラボでソフトウェア開発経験を持つデータジャーナリスト。 本著は、テック文化の明るい未来に疑問を持ち始めた著者が、テクノロジーにできることの限界を理解…

【美】珠玉のコレクション-いのちの輝き・つくる喜び(SOMPO美術館:2020/8/14)

開催情報 【概要・雑感】 1976年開館の旧東郷青児 損保ジャパン日本興亜美術館がSOMPO美術館として開始。開館記念展ということで訪問。3フロアにわかれたこぶりな美術館。新宿西口でてすぐ。気軽に訪れたい。 ゴッホ、ゴーギャン、ルノワール、セザンヌ、ユ…

【本】大分断 教育がもたらす新たな階級社会化(エマニュエル・トッド)

書籍情報 【概要】 サブタイトルが気になり読了。さらりと読めるよ、PHP新書。 著者のエマニュエル・トッド氏(1951-)はフランスの歴史家、文化人類学者、人口学者。家族制度、人口研究から政治・社会を分析し、ソ連崩壊、アラブの春、トランプ大統領当選、…

【本】一千一秒物語(稲垣足穂)

開催情報 【概要・雑感】 松岡正剛氏の書評でえらく推されていたので読了。 なんという世界。小説なのか詩なのか、ストーリーに解釈が必要なのか。そうしたものを超越して、書くということは、ここまで自由と広がりの可能性を持っているのか。孤独、静寂、暴…

【本】日本語が亡びるとき -英語の世紀の中で

書籍情報 【概要】 以前、人から紹介され、積読していたものをふと気になり読了。 著者は、小説家。アメリカの大学で日本近代文学も教える。“12歳で渡米するもアメリカになじめず、日本文学全集を読んで過ごしたものの、20年アメリカに居続けてしまった”経歴…

【美】ロンドン・ナショナル・ギャラリー展(国立西洋美術館:2020/7/10)

開催情報 【概要・雑感】 現地での感動を再び、ということで鑑賞。予約制でとても落ち着いて観れた。すばらしいシステム!音声ガイドは俳優の古川雄大さん。 ナショナル・ギャラリーは1824年創立。ルーブルで行われていたように名作の模写機会を提供しよう、…

【映】万引き家族 (prime video:2020/07/05)

開催情報 【概要・雑感】 天邪鬼につきいまごろ視聴。2018年パルムドール受賞の是枝作品。 自分が、そして人がそのネイチャーとして孤独であることを見つけてしまったものは、むしろ純粋に見つめあえる。6つの軌跡が持ち寄った灯火、虚飾ない絆、許さない無…

【本】なぜヒトは学ぶのか

書籍情報 【概要】 「教育とは、学ぶとはどういうことかについて、これまでと異なる生物学的な視点から書く」との冒頭の一文に興味をひかれ読了。 著者は、教育心理学、行動遺伝学を専門とする。 本著は、“自分自身の人生を歩み始めているはずの生物学的年齢…

【本】睡眠の科学 改訂新版 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか

書籍情報 【概要】 ブルーバックスのバックナンバーを眺めていて購入。 著者は、1998年に覚醒を制御する神経ペプチド「オレキシン」を発見した研究者。 2017年時点で確実と思われる知見で最先端の睡眠科学、睡眠と覚醒のメカニズムをわかりやすく説明。覚醒…

【本】梅原猛の「歎異抄」入門

書籍情報 【概要】 「出家とその弟子」(倉田百三)を読み、親鸞と歎異抄について知るため読了。 梅原曰く、“宗教史上、卓越した書”。第一章は「『歎異抄』わが心の恋人」。新宗教までの歴史を簡単にさらったうえで、法然、親鸞、唯円について記述。その後、…

【美】ピーター・ドイグ展(東京国立近代美術館:2020/07/02)

開催情報 【概要・雑感】 トリニダード・トバゴ(port of Spain)在住のアーティスト。ロマンティックでミステリアスな風景を描く画家(チラシ評)。過去に日本で展示されたこともあるが、今回の規模ははじめて。音声ガイドは女優ののんさん。 スコットラン…

【映】悪の偶像 (新宿シネマート:2020/07/01)

開催情報 【概要・雑感】 ハン・ソッキュ、ソル・ギョング競演のサスペンスノワール。ベルリン国際映画祭出品、ファンタジア国際映画祭で作品賞、主演男優賞。英題はIDOL。ひき逃げした息子の罪を隠ぺいする政治家と犯人を追う被害者の父親の動きを軸に、被…

【本】科学的な適職

書籍情報 【概要】 職のミスマッチ関連の書物を読む中で読了。 著者の鈴木祐氏( 1976-)は、サイエンスライター。”10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビュー“経験があるとのこと。 本著は、一般に世間でいわれる仕事選びの…

【本】新・建築入門 -思想と歴史

書籍情報 【概要】 美術史を読む中で建築史に流れて再読。 著者の隈研吾(1954-)は現代日本を代表する建築家の一人。近年、新国立競技場の設計で話題になった。根津美術館、サントリー美術館、東急キャピトルタワー、京王高尾山口駅舎など馴染みのある建築…

【本】精神科医が教える聴く技術

書籍情報 【概要】 傾聴に興味を持ち読了。 著者の高橋和巳氏(1953-)は精神科医。カウンセラーの教育(スーパービジョン)も行っている。 本著は、カウンセリングにおける「聴く技術」を、黙って聴く、賛成して聴く、感情を聴く、葛藤を聴くの4つのステッ…

【本】高齢社員の人事管理~戦力化のための仕事・評価・賃金~

書籍情報 【概要】 中高年者のキャリア形成に興味を持ち読了。 著者の今野浩一郎氏(1946-、学習院大学名誉教授)は長年高齢者の雇用管理に関する政策や研究に携わってきた研究者。東工大卒。教育やキャリア分野で気になる研究者には、ときどき工学系出身者…

【TV】特集「緊急対談 パンデミックが変える世界〜海外の知性が語る展望〜」(2020/04/16 00:00-01:00 NHK Eテレ)

番組情報 【概要・雑感】 世界規模で混乱を巻き起こしている新型コロナウィルス。これがもたらす意味、将来を識者が語る。イアン・ブレマー、ユヴァル・ノア・ハラリ、ジャック・アタリの順でコメント。目先の混乱への注目・対処は重要であるが、この課題に…