モグラ談

40代のリベラルアーツ

【映】サニー 永遠の仲間たち(カン・ヒョンチョル)

センチメンタルといえば韓国映画。青春とセンチメンタルはこれ以上ない組み合わせ。2011年、124分、韓国。740万人動員とか。 高校時代に強い絆で結ばれた7人組グループの“サニー”。卒業式の事件以来離れ離れ。それぞれの人生を歩む。当時、転入生として受け…

【映】タクシー運転手 約束は海を越えて(チャン・フン)

光州事件を題材とした一作。事実をもとに再構成。ソン・ガンホ主演。2017年、137分、韓国 民主化の聖地光州。1980年に起こった虐殺事件。5・18は忘れられない日。ドイツ人ジャーナリストのヒンツペーターをソウルから連れていくことになった運転手キム・マン…

【映】タイピスト(レジス・ロワンサル)

一旦、韓国映画から離れて、気張らず観られる作品に。2012年、111分、フランス ‘50年代のフランスを舞台にタイプライター世界大会に挑む女性を描く。都会にあこがれるローズ、秘書職の面接を受ける。うまくこなせず解雇通知。継続の条件は素質を認められたタ…

【映】ペパーミント・キャンディー(イ・チャンドン)

「バーニング」に続いてイ・チャンドン作品。同監督の出世作。1999年、130分、韓国・日本合作。 ヨンホ役のソル・ギョングは「殺人者の記憶法」や「悪の偶像」の熱演が思い出される。本作では20代から40代までを演じる。 不穏で、なげやりで破滅的な男、キム…

【映】バーニング(イ・チャンドン)

「ペパーミント・キャンディー」「オアシス」のイ・チャンドン作品。春樹の短編小説「納屋を焼く」原作。カンヌで国際批評家連盟賞。2018、148分、韓国 青年ジョンスは偶然、幼馴染のヘミと再会。近づく二人。海外旅行から戻った彼女が連れてきた男ベンの登…

【映】嘆きのピエタ(キム・ギドク)

思えばはじめてのキム・ギドク作品。ベネチア金獅子賞。2012年、104分、韓国。 暴利で貸付け、障害を負わせ保険金で返済させる取り立て屋のガンド。親を知らずに生きてきたが、突然母親と名乗る女が現れる・・・。 ガンド役は、イ・ジョンジン。アイドル風で…

【音】オルガンプロムナードコンサート(サントリーホール 2023/01/12)

新年一回目。奏者は山本真希さん。バッハを中心に、ヒメニス、ヴィエルヌより。 ヒメニスは、17世紀スペインのオルガニスト。曲目のバッターリャは戦いを意味し、古くからカトリック教会で戦勝記念日の典礼で演奏されてきたとのこと。たしかに戦勝記念日にふ…

【映】すずめの戸締まり(新海誠)

新年一作目にしてすでに今年No.1決定の予感。アニメの枠を超え、映像芸術としての金字塔がまたひとつ生まれたと言いたい。 もはや写実性も美術性も実写を超えたのではないか。そのうえアニメだから活きる凝縮された物語性とメッセージ性。神話性を持たせた鎮…

【音】日フィル第九交響曲特別演奏会2022(東京芸術劇場2023/12/23)

およそ年内の仕事を終えて池袋へ。クリスマスの趣向で冒頭、パイプオルガンでバッハから3曲。演奏は石丸由佳さん。「トッカータとフーガ」は螺旋階段を上り続けるかのように昇華し続ける。全身で演奏する。天使が降りる。折り重ねるように、畳みかけるように…

【音】オルガンプロムナードコンサート(サントリーホール 2022/12/22)

ひさしぶりのサントリーホールオルガンコンサート。今回はパイプオルガンのソロでジグーから「大合唱の応答」と、バッハから「主よ、人の望みの喜びよ」。そのあと、サクソフォーンが加わり、ピアソラのタンゴ3曲。 オルガンは山田由希子さん、サックスは太…

【美】展覧会 岡本太郎(東京都美術館)

晩年のメディアでの露出のイメージが強い岡本太郎(1911-1996)。パリ時代には哲学も学び、抽象主義には流されず、ピカソと縄文に感動し、ひとつの世界を創りあげた偉大な画家。過去最大規模の大回顧展というありがたい機会。音声ガイドは阿部サダヲさん。 …

【美】畠山耕治 青銅を鋳る(菊池寛実記念 智美術館)

同僚が企画した鑑賞会に参加。陶芸コレクターの菊池智のコレクションを収蔵する同館だが、本展覧会では鋳物を展示。新たな取り組み。 はじめての訪館。都心の凛とした佇まい。交友のあった篠田桃紅の作品でお出迎え。館内の内装自体に作品を取り込む。螺旋階…

【美】荒井良二のアールぶるっと!(世田谷美術館)

ふらりと最終日前日に入館。絵本でお気に入りの荒井良二さんの展覧会と思いきや、世田美収蔵品から同氏がセレクションした展覧会。 “子どものように自由に考え、描くにはどうすればいいか”を考え続けてきた、同氏によるセレクション。まずアンリ・ルソーの“…

【映】預言者(ジャック・オーディアール)

一旦、韓国映画から離れ、ウォッチリストから。「真夜中のピアニスト」のジャック・オーディアール作品。カンヌ(09)グランプリ。主演のタハール・ラヒムは本作でセザール賞の主演男優賞受賞。 6年の服役となったアラブ人青年マリクは、所内のコルシカマフ…

【映】国際市場で逢いましょう(ユン・ジェギュン)

国民的作品と聞き視聴。観客動員数1410万人の感動叙事詩。2014年、127分、韓国。 助演のキム・ユンジン、「シュリ」と「LOST」でおなじみ。主演のファン・ジョンミンは、一時、ソル・ギョング、チェ・ミンシク、ソン・ガンホに続く実力派俳優と称されたとの…

【映】魔女(パク・フンジョン)

“はやく次作をみたい!”と思わせる久しぶりのバイオレンスアクションの名作誕生。2018年、125分、韓国。 実験施設で育てられた殺人兵器の子供たち。脱走した少女ジュヤン。10数年後、とあることから組織に見つけられ…。 浦沢直樹の「MONSTER」を想起しながら…

【映】お嬢さん(パク・チャヌク)

今月は韓国の小説、映画によく触れた一か月。「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク作品。サラ・ウォーターズの「荊の城」(’02)を原案としたサスペンス。2016年、145分、韓国 ‘30年代日本統治下の韓国。現地の富豪と日本人令嬢秀子、その財産を狙う詐欺師…

【映】アクト・オブ・キリング(ジョシュア・オッペンハイマー)

いつしか登録したウォッチリストから。2012年、121分、デンマーク・ノルウェー・イギリス合作。 60年代のインドネシアで吹き荒れたレッドパージ。ギャングたちも加わり100万人規模の虐殺が行われたといわれる。被害者への取材が禁止された製作陣は、加害者に…

【映】スポットライト 世紀のスクープ(トム・マッカーシー)

「ミート・ザ・ペアレント」(00)に俳優として出演していたマッカーシー監督。本作でアカデミー作品賞。2015年、128分、米。 神父による性的児童虐待と、これを看過してきたカトリック教会という巨大権力に、職業生命を賭して挑む記者たちを描く。骨太の社…

【映】妻への家路(チャン・イーモウ)

小説「三体」をきっかけに中国文革・文芸系へ。「活きる」「サンザシの樹の下で」に続く、文革題材のチャン・イーモウ作品。コン・リーとのコンビ。2014年、110分、中国。 文革時に娘の密告で収監されるルー。愛する妻はショックと心労で記憶障害となり、再…

【映】地球が静止する日(ローランド・エメリッヒ)

いま生きている幸せをかみしめたく地球滅亡系の映画連投3本目。1951年の同名作品を一新したリメイク。キアヌ・リーヴスとジェニファー・コネリー共演。1950年代といえば、クラーク、アシモフ、ハインラインらのSF作家が活躍したSF隆盛期だな、などと思い観て…

【映】ムーンフォール(ローランド・エメリッヒ)

いま生きている幸せをかみしめたく地球滅亡系の映画連投2本目。「インデペンデンス・デイ」「デイ・アフター・トゥモロー」のローランド・エメリッヒ監督×ハル・ベリー、パトリック・ウィルソンということで観てみたが。。 原因不明の力で軌道を外れた月が地…

【映】グリーンランド 地球最後の2日間(リック・ローマン・ウォー)

いま生きている幸せをかみしめたく地球滅亡系の映画を何作か。「300」でヒットしたジェラルド・バドラー主演。2020年、119分、米。 彗星の破片が隕石となり地球に衝突。さらなる巨大隕石による世界崩壊まで残り48時間に迫る中、一部の市民がシェルターへの避…

【映】ザ・マスター(ポール・トーマス・アンダーソン)

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(2007)のポール・トーマス・アンダーソン監督作品。ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン共演。ベネチア銀獅子(監督)賞、男優賞。2012年、138分、米。 第二次大戦でトラウマを抱えた帰還兵フレディ…

【音】日本フィル とっておきアフタヌーンvol.20:太田弦(2022/09/27)

サントリーホールのほどよい企画。この回は、モーツアルトのピアノ協奏曲第20番とベートーヴェン交響曲5番。指揮は若手の太田弦さん。ピアノは仲道郁代さん。 ピアノ協奏曲第20番、生音で聞いてみたかった。部屋で聞くのとはやはり大きく違う。なめらかで、…

【映】アリス・イン・ワンダーランド(ティム・バートン)

原作を読みなおし、複数の絵本を読み比べ、映画も手に取ったアリスウィークエンド。ティム・バートン監督、アリス役は(ちょっとグウィネス・パルトロウ似の?)ミア・ワシコウスカ。ジョニーデップ、アン・ハサウェイ共演。2010年、109分、米。ディズニー作…

【映】翔んで埼玉(武内英樹)

名作がこんなところに。「のだめ」「テルマエ・ロマエ」シリーズの武内英樹監督。二階堂ふみ、GACKT、伊勢谷友介、ブラザートム、麻生久美子、加藤諒と、どこかふざけている面々が彩る。2019年、107分。 東京に対し圧倒的に劣位に置かれる埼玉。東京に行くの…

【映】薔薇の名前(ジャン=ジャック・アノー)

「愛人ラマン」「セブン・イヤーズ・イン・チベット」のジャン=ジャック・アノー監督。ショーン・コネリー主演、子役のクリスチャン・スレーターは、どこかで観たどこかで観たと思いながら思い出せなかったが、「トゥルー・ロマンス」の彼だった。1986年、1…

【映】MAMA(アンドレス・ムシェッティ)

デル・トロ製作総指揮、「IT “それ”が見えたら終わり」のアンドレス・ムシェッティ監督ハリウッドデビュー作。2013年、100分、スペイン・カナダ。 破産し、共同経営者と妻を殺害し、娘二人をつれて失踪した兄を探すルーカス。5年後、山小屋で変わり果てた娘…

【映】マーシュランド(アルベルト・ロドリゲス)

いつもと違った雰囲気でもと思いスペイン映画から。田舎町を舞台にしたクライムサスペンス。ゴヤ賞では作品賞、監督賞など10部門受賞。2014年、105分、スペイン。 フランコ独裁政権の爪痕のこるアンダルシア地方の田舎町。町の祭りにあわせて起きる少女連続…