モグラ談

40代のリベラルアーツ

【美】肉筆浮世絵名品展-歌麿・北斎・応為(太田記念美術館:2020/1/26)

開催情報

【概要・雑感】

  • 絵師、彫師、摺師の分業で創られる浮世絵版画と比べ、肉筆画は絵師が直接絵絹や紙に描く。そのため、版画に比べ、絵師の筆致や技量がわかるという。
  • 目玉は、北斎の「雨中の虎」とその娘、応為の「吉原格子先之図」。「雨中の虎」は没年90歳の作品とは思えない迫力。虎の縞模様と色使い、対比となる緑赤の植物と青い眼球が脳裏に響く。
  • 「吉原格子先之図」は光と影の明暗が確かに幻想的。この明暗が奥行きと重なり中と外の空気感の違いを生み出している。夕暮れの両国橋を描いた小林清親「開化之東京両国橋之図」も、その明暗の表現が美しく印象に残る。
  • 師宣から芳年まで幅広く観れるのはさすが浮世絵専門館の開館40周年記念展示。毎週日曜放映の浮世絵の歴史もよいコンテンツ。

 

【もう1冊】

  • すぐわかる日本の絵画【改訂版】(守屋正彦,2017,東京美術) ⇨仏教絵画から近代画まで見開き2ページ1テーマで概説。相当絞り込まれているはずだが、歴史背景等、必要な説明がなされているのでわかりやすい。