モグラ談

40代のリベラルアーツ

【美】堀文子収蔵作品セレクション展ほか(成川美術館:2020/3/21)

開催情報

【概要・雑感】

  • 現代日本画に焦点をあてた芦ノ湖畔の美術館。1988年開館。山本丘人を中心に、平山郁夫作品も所蔵。堀文子、岡信孝、牧進、関口雄揮、吉田善彦、毛利武彦、平岩洋彦、岡崎忠雄、小林済、前本利彦、牛尾武、柳沢正人らの作品数は、日本一を誇り、“現代の作家とともに歩む未来の名品を先取りした個性的な美術館が私たちのモットー”とのこと(成川美術館HP)。
  • 芦ノ湖を見晴らす展望台があり、素晴らしい立地。展示室はこぶりだが4部屋。訪館時は、岡信孝、堀文子、小笠原元、収蔵名作展を開催。「花の画家」と呼ばれた堀文子の牡丹の色調やトスカーナの花畑、自らの足で見つけ出し、切り取られた小笠原の風景画、加山又造の“猫”、平山郁夫の“ガンジスの夕”などが印象に残った。

 

【もう1冊】

  • 日本画の歴史 現代編(草薙奈津子,2018,中公新書) ⇨戦前昭和以降から現在に至るまでの日本絵画の歴史を概観。官展と院展の流れ、前衛美術グループの集合離散、戦争直後の日本画批判、その後の創造美術の発展、女性画家の台頭など。戦後の日本画の変化の背景に、人造岩絵具の色相増加や膠以外の接着剤の発明・使用により油絵に対抗しうる量感ある表現が実現したこと、良質な筆の生産が減り“書く絵から塗る絵“に変化したこと、住まいの洋風化で床の間向きの縦長の軸から壁面にかける横長の額に変化したこと、といった技術や生活の変化の影響があったとの記述は興味深い。 
  • 一目置かれる知的教養 日本美術鑑賞(秋元雄史,2019,大和書房) ⇨東京藝大美術館長による日本美術の入門書。日本美術の特徴、歴史、時代別の代表作をわかりやすく手短に整理。“「自国文化」の理解力で、グローバル時代の生き方が変わる”とのこと。