【美】20世紀のポスター[図像と文字の風景](東京都庭園美術館:2021/2/27)
【概要・雑感】
- 目黒川沿いを散歩しながら美術館巡り。郷さくら美術館→目黒区美術館→庭園美術館。桜は芽がほのかに心を開きはじめたかな、という丸み。とても気持ちいい1日。
- 郷さくら美術館は、昭和から現代の日本画を展示。こぶりな建物、清潔な館内、ところせましと作品が並ぶ。訪館時は、「ベストセクレクション展 絶景への旅」を開催。世界の絶景、桜と絶景、雪と絶景。花弁の色の多様さ、夜桜、幻想、無常の象徴。静謐、無音、冷気、呼吸と心拍、それらが音として聞こえてくる雪の世界。
- 目黒区美術館では、「前田利為 春雨に真珠をみた人」。加賀前田家16代当主利為のコレクションを展示。明治天皇の行幸を本邸に迎えるにあたり購入した西洋絵画などを展示。
- 庭園美術館、はじめての訪館。アール・デコ様式の朝香宮邸を引き継ぎ1983年に開館。庭園に囲まれた美しい洋館。展覧会のサブタイトルは“ビジュアルコミュニケーションは可能か?”。
- 1910年頃生まれた構成主義が、ビジュアルデザインの世界で、“図像と文字を幾何学的・ 抽象的な融和のもとに構成しようとする特徴的な表現様式”を生み出したらしい。なにか絶対的なものが客体としてあるのではなく、創り手受け手が自らの内部で構成的に表現・受容する、ということを目指したのかな、と捉えてみた。伝統的モチーフではなく、幾何学モチーフを用いることで、既存芸術から自立するとともに、当時の工業社会の機能的・経済的要請に合致した様式、というのは納得。
- ポスターの美とはなにか。注目、刺激、色彩美はある。見ていて楽しい。感じる脳の部位が違う。
【もう1冊】
- ポスター芸術の歴史(ディヴィッド・ライマー,2020,原書房)⇨ポスターが一変したのは1796年のリトグラフの発明から。19世紀後半のベル・エポックに花開いたポスター。ロートレック、ミュシャからロシア構成主義、シュールまで。大判。