モグラ談

40代のリベラルアーツ

【美】百花繚乱-華麗なる花の世界-(山種美術館:2021/6/26) 

作品情報

【概要・雑感】

  • 毎回すばらしい企画。My most favorite museum!開館55周年記念展覧会。古径、土牛、蓬春、青樹、御舟などなど。心洗われた。大満足。
  • 古径の葉や茎にみる淡く流れるような薄緑と輪郭。傾く構図が不安定さと同時に動きを感じさせる。土牛にも通じるが、この淡く、温かい緑が好きなんだなぁと自覚。
  • 牡丹、菖蒲、燕子花、芥子、桜。好んで描かれてきたモチーフ。ゆらぎ、儚さ、静寂、生命力が創りだす美。
  • 蓬春の“梅雨晴”。紫陽花が顕しうるすべての色彩を、静寂と湿度感とともに伝えるもの。祖母に伝えようと絵ハガキ購入。と感じいったところに、すぐそばに梅原龍三郎。大胆な色彩と筆致。
  • 絵巻物で草花を図鑑的に表現した田能村直入の“百花”。この絵の中に迷い込みたいなぁ。
  • 古径の“蓮”。淡き美しき古径のいいところすべて。浄土だ。
  • “写生の真意は、具象的な形態を真実に再現することではなく、その物象の性格と環境と雰囲気とを研究探明してその裏にひそむ物の性霊を表現するにある”(大観)
  • こぶりの第二展示室は牡丹特集。福田平八郎の“牡丹”に足を止めること5分。この色合い!香り、花弁のふくよかさ、葉のしめやかさ、漂う湿度感まで伝わってくる大作。まさに幽玄。裏彩色(絹地の裏から彩色)という技法が用いられているとのこと。
  • 加藤周一(日本文学史序説)で繰り返し述べられていたことを思いだす。彼岸より此岸、叙事より抒情、抽象より具象、歴史より“いまここ”、これらを日本人が好んできたことを。花鳥画の写実はまさにこの結晶かしら。