モグラ談

40代のリベラルアーツ

【映】はちどり(Amazon Prime:2021/12/30)

作品情報

  • 2018年韓国・アメリカ合作、キム・ボラ監督長編デビュー作。138分。
  • 1994年のソウル。アメリカでワールドカップが開催され、金日成が死に、ソンス大橋が落下した年。14歳の感受性。
  • 人を求めることの様々なかたちを親密に描く。空気感が伝わってくる。先生に抱きつけた、胸にとびこめた勇気、感情。不幸も幸せも、貧しさも疲労も、日常も事件も、どれも一方的ではない。
  • みること、とらわれずにみつめられること。本当はみんなが求めていること。誰もが主人公になりえる。チヂミをたべる娘をみつめる母親のまなざし、ほほえみ。ラストの主人公の表情。あどけなさ、内にひめる迷いと希望。
  • 教室と団地は標準の象徴、可能性をすりへらす象徴。“わたしはカラオケのかわりにソウル大に行く”。アレントを思い出す。“まさに、どの子どもにもある新しく革命的なもののために、教育は保守的でなければならない。教育はこの新しさを守り、それを一つの新しいものとして古い世界に導き入れねばならない”。
  • “つらいときは指をみて動かしてみる。何もできないようでも指は動かせる”。言葉のちから。