モグラ談

40代のリベラルアーツ

【本】俺は死ぬまで映画を観るぞ(四方田犬彦)

書籍情報

  • 今年は四方田氏の文章をよく読んだ。ウォッチリストにもいろいろ登録させて頂きました。感謝。
  • しっかり映画評論する人がいない、という著者の嘆きに同意。映画に限らず、批評・評論の世界はいったいどうなっている!?文章も映像も絵画も演芸もすべてコンテンツと称される消耗品時代に批評は広告に白旗か?
  • 季刊フィルム創刊号の巻頭言より(1968)。この気概!

その時、突然、ぼくらは、今日の世界の迷路の真っただ中で、<もうひとつの映画>への意志にめざめていた。映画を概念として、理念として、思想として、感覚として、行動としてぼくらの生活の次元に放ち、映画の中にみずからとびこみ、その無限の無方向性の中であがきつつ、ぼくらは、まず、季刊<フィルム>を創った。(中略)芸術ジャンルの境界を破壊し、そして、芸術そのものを<仮象>や<虚構>から脱出させる、その変革的機能において、映画ほど、今日の迷宮世界に突き刺ささる強力な武器はないはずだ・・・

  • 2010年に書かれた本著で、映画は映画館で一度だけ観るものから、媒体として所有し繰り返し視聴されるものにかわり、そして見る側が好きなように編集できるものになりうる、とする。私たちはより能動的に映画に関わることができる。と同時に、映画をもっと”しっかり観る”べきなのだろう。
  • 四方田氏は20歳代中ごろに映画批評を書こうと志し、先輩から“病気で入院中の友だちに観てきたばかりの映画の面白さを説明して、早くよくなって観にいけるといいねという感じで書けば大丈夫”と言われたそうだ。原点をみた。

【もう1冊】

  • ルイス・ブニュエル四方田犬彦,2013,作品社)⇨“アンダルシアの犬”を観た学生時代の衝撃を思い起こしつつ読む。600頁超の大著。こういう本、もっと読みたいなぁ。