モグラ談

40代のリベラルアーツ

【美】花鳥風月 名画で見る日本の四季(岡田美術館)

  • 恒例の箱根美術館めぐり。“春の桜、初夏の牡丹に燕子花、秋の紅葉に冬の雪”。自然に親しみ、行事・風物を通じこれを愛でる瞬間を大切にしてきた日本。日本の絵画を中心に、工芸品を合わせて展示。光琳、抱一、歌麿北斎、春草、御舟、若冲田中一村などなど。すばらしい企画。
  • 静謐な館内。無音。この静けさと空間は岡田美術館ならでは。集中しきれる。
  • 常設の陶磁器。前漢時代の騎馬俑、写実、素朴、力強さ。欠けることなく現存するその姿は時の流れに感慨を生む。充実した中国陶器の品々。景徳鎮の白磁、そばにおいて眺め続けたい気持ちがわかる。北宋に生まれた耀州窯のオリーブグリーン、なめらかな官能。
  • 江戸の名匠、野々村仁清尾形乾山。ろくろの名手で鮮やかな色付技術を生み出した仁清、兄の光琳との合作で陶磁と絵画を融合した乾山。有田・古九谷、黄・緑・青が創り出した独創と美。
  • 歌麿の“深川の雪”、深川料亭の活気が生き生きと伝わってくる。ひとりひとり変化に富む風俗描写。2×3.4mの大作。
  • ここから企画展。狩野元信“四季花鳥図屏風”でお出迎え。平安に始まった一つの絵に四季をまとめる表現、一年が無事めぐることに吉をみる。四季から2つの季節をとりだす二季は桃山頃から、一つの季節・モチーフをとりあげるのは江戸頃から増えた、とのこと。
  • 御舟の“木蓮”。二度目の鑑賞。モノトーンの無限性。清々しい。枝にほどこされた繊細なたらしこみ。“紫のゆかりたずねて鶯や此花かげにねぐらをやかる(建部政醇)”
  • 古径の“白花小禽”、泰山木の花弁の乳白と気高さ、葉の黒緑。
  • とりあげられることの少ない田中一村、”白花と赤翡翠”を展示。奄美の自然の力を花鳥で伝える。愛らしい赤翡翠、色彩と対照的にわずかに感じさせる寂寥。
  • 若冲の“孔雀鳳凰図”、孔雀の足元に咲く牡丹の富貴、鳳凰の絢爛、力強く迫る極彩色。若冲家督を譲り画業に専念しはじめたのが40歳、月と6ペンスのストリックランドも同じ、雪舟が渡明したのが47歳。40代、開眼の年代か。。
  • ギャラリートークを聞き、庭園を散歩。“うららかに陽光あびる牡丹かな”

“春はあけぼの夏は夜、秋は夕暮れ冬はつとめて”

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