モグラ談

40代のリベラルアーツ

【美】モネからリヒター(ポーラ美術館)

  • “光”をテーマに、所蔵コレクションと近年の新収蔵作品を合わせて展示。充実した作品集。GWということもあり多数の来館者、モネの集客力。
  • はいるとすぐにルノワールの“レースの帽子の少女”、日本画から一気に西洋画、油彩画、印象派モードに。モリゾの“ベランダにて”、窓辺に座る少女、穏やかな陽光が差し込む、温度、風の音、ゆっくり流れる時間まで感じさせる。モネの“散歩”、草いきれ、温かな風を感じる。屋外で描く喜び。セザンヌの静音、ピカソの探求、マティスの赤。ブラックとピカソが拓いたキュビズムはまず静物を対象にセザンヌキュビズムからはじめた。マティスは、点描・新印象派シニャックと過ごした南仏で色彩の解放と自由な造形の啓示を受ける。歴史はつながっている。
  • 大正期の洋画を“内なる光”と称し展示。村山槐多、関根正二
  • レオナール・フジタの“ベッドの上の裸婦と犬”、乳白色の輝き。パリを熱狂させたフジタの白。和紙の白さをそのまま用いた浮世絵の技法を参考に、手製のキャンバスを白塗り。白磁器に通じる美。
  • 随所に1900年代前半のパリが生み出したエネルギーのすさまじさ、偉大さを感じながら鑑賞。
  • 戦後生まれた“アンフォルメル”という芸術潮流。戦前の幾何学的抽象画への反動としてパリで生まれ、ポロックアメリカのアクションペインティングと合流していく。分厚いマチエール(表面の肌合い)の不安定さや画家の筆や体の動きに重点を置く絵画とのこと。ふ~ん。
  • ジャン・デュビュッフェの“パレード”、白髪一雄の“泥錫”、物質性の探求。無機質を強調することで、逆説的だが生命の根源を示されているような感覚。物質という無機をかりて、むしろ有機をつきつけられているというか。
  • 抽象主義、いろいろなものが人の手、認知から離れていく感じ。サイエンスも同じか。美は表すものから生みだすものになっていると捉えてみた。個は媒体でなくある種の創造主に。偶発性への期待。混乱は無理ないとも。
  • リヒターの“抽象絵画(649-2)”、幻影が迫ってくる、そこに引き留められる。カプーアの“Glisten(Magenda Apple mix 2 to Gaenet)、赤一色の円盤、近づけば近づくほど色が捉えられなくなる、吸い込まれそうになる。
  • このほか、ハマスホイ、中村忠良、杉本博司、三島喜美代などなど。もりだくさんの展覧会

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