モグラ談

40代のリベラルアーツ

【映】ゴッホ 最後の手紙(ドロタ・コビエラ/ヒュー・ウェルチマン)

  • ウォッチリストから。原題は、“Loving Vincent“。ゴッホの死の真相を、生前テオに書かれた手紙を託された若者の旅を通じて捉えていく。全編、油絵風のアニメーション。2017年、96分、イギリス・ポーランド合作。声優は、主役の若者が山田孝之さん、彼に手紙を託す父親役がイッセー尾形さん。この二人もよい。
  • 実写映像をもとに作成された65,000超の油絵、125名の画家が参加。前代未聞のアニメーション化。
  • オープニングの月の美しさ。こうした映像を観られると思うと歓びがわきあがってくる。脳と心が愛撫され続ける90分。しばしば挿入されるゴッホの作品やモチーフ。月、糸杉、太陽、麦畑、カフェ。写実的な素描と荒々しい油絵風のタッチがうまく組み合わせられる。
  • アルルでのゴーガンとの別れからゴッホの人生をたどる。生前、彼と関わった、画材屋、医師とその娘、家政婦、宿の主人と娘、巡査、貸しボート屋の従業員。それぞれがそれぞれのゴッホ像を持つ。
  • 感傷的なエンドロール。流れる歌が、彼の人生をしみじみと美しくまとめあげるかのよう。
  • 素晴らしい企画。同様の作品を期待したくなる。印象派、ゴーガン、あるいは北斎あたりはなじみそうな気がする。あるいはカラヴァッジョ?

“もしかして、死ぬこととは、星を見に行く手段なのかな?”

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