モグラ談

40代のリベラルアーツ

【美】自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで(国立西洋美術館)

  • リニューアルオープン記念。ドイツのフォルクヴァング美術館の協力を得て開催。急速な近代化が進んだ19世紀から20世紀にかけ、芸術家たちは新たな知識とまなざしで自然を捉えていった。印象派、ポスト印象派を軸にドイツ・ロマン主義から20世紀絵画までの100点を超える作品を展示。
  • まずブーダン。“空の王者”とされるが、浜辺の絵も多い。モネに戸外での制作を勧めたのもブーダンだったとか。
  • 日本でなぜこんなに印象派が人気なのか。解釈にキリスト教知識や抽象思考を要さないから、対象が日本人の自然観と一致するから、導入期に指導者が影響を受けていたから、などと言われているらしいが。
  • モネの“セーヌ河の朝”、木々の隙間からさしこむ光、これを捉えたかった気持ちを想像。ルノワール、朱色と緑がかもしだす温かみと丸み。ゴッホの“刈り入れ”、うねるような黄色の力、“人間は刈り取られる麦のようだ。でもこの死の中には、なんら悲哀なく純金の光の中で明るく行われている”。
  • 印象派が続く中でコローがでてきてなぜか安心する。風景画が好きな自分。
  • リヒターの“雲”、写真をもとにした絵画。人の視覚で得られたものは本当ではない、という捉え方。そのうらには本当はあるという観念。
  • フリードリヒの“夕日の前に立つ女性”、大陸の大地の前に神々しさを感じさせる。
  • クールベの作品、海の風景画を10点以上制作したという。常設展も含め、所蔵充実しているような。“私は天使を描けない。なぜならみたことがないから”(クールベ
  • モローやルドンといった象徴主義の作品も素描を中心に展示。ロマン主義を引き継ぐ象徴主義は、視覚的現実を超すものが共鳴し融合する神秘と幻想の世界を探求した“とのこと。ふーん。
  • シュールのエルンストからは“石化した森”。森の中では自由であるとともに囚われている、という。グラッタージュ(カンヴァスに塗られた絵の具をナイフで削り、その下にある物の質感を転写)という技法。エルンストは文学における自動筆記に匹敵するシュルレアリスム的手法として見出したとか。
  • シュール作品の見方について思う。言語化が拒否されるなら、批評自体は矛盾とまではいかないが空しい行為なのかもしれない。その意味で、禅画はベストバランスかもしれない、などと。
  • カンディンスキーリトグラフ多数展示。常設展ぶらりして満足度高めて帰路。

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