モグラ談

40代のリベラルアーツ

【映】ノマドランド(クロエ・ジャオ)

  • スリー・ビルボード」のフランシス・マクドーマンドに惹かれ最新作を。クロエ・ジャオ監督も気になっていた。アカデミー賞(2021)で作品、監督、主演女優賞の3部門を受賞。2020年、108分、米。
  • 夫を亡くし、職を失ったファーンはノマドとしてヴァンで暮らす生活を選ぶ。行く先々で仕事を探す。砂漠の寒さの中での厳しい生活。そこで流れる心情、さまざまな出会いと選択・・・。
  • 静かにはじまり進んでいく。my favorite。冒頭から良質のアメリカ映画の香りが漂ってくる。
  • 資本主義競争社会で追いやられた人々、拒否する人々が集う。製作当時はトランプ政権。ラストベルトの状況と重なる。
  • マクドーマンドが演じる硬質でかたくなで誇りある女性。ストーリーになにかダイナミックな展開があるわけではない。まさに流れていく心情を演じる。惹きつけられる。
  • タフにならねばならない、タフな生活に備えなければならない。帰属せずに拒絶せずに生きるということとはどういうことか。そんな考えが頭をよぎりながら観る。
  • 時折、報道番組のインタビューのようなショット。ドキュメンタリーのリアリティが持ち込まれる。
  • 厳しい砂漠、美しい夕日、雄大な西部の原風景が作品全体を包む。厳しくも温かい大地の力が厳しい現実からの解放と内省のひとときを与える。
  • ラストでかつて夫と暮らした家に帰る。お気に入りの窓からの風景を眺める。気持ちに整理をつけ、再びヴァンに向かう。

“No, I’m not homeless, I’m just houseless. Not the same thing, right?”

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