モグラ談

40代のリベラルアーツ

【映】薔薇の名前(ジャン=ジャック・アノー)

  • 「愛人ラマン」「セブン・イヤーズ・イン・チベット」のジャン=ジャック・アノー監督。ショーン・コネリー主演、子役のクリスチャン・スレーターは、どこかで観たどこかで観たと思いながら思い出せなかったが、「トゥルー・ロマンス」の彼だった。1986年、132分、仏・伊・西独。
  • 僧侶が若き弟子時代の“おぞましき出来事”を回想。奇怪な死が続く14世紀初頭の北イタリアの僧院。おとずれた他宗派の元審問官(コネリー)とその弟子(スレーター)が解決に挑むが・・・。
  • 脚本がまずあり、それに忠実に撮影を積み重ねていったらこうなるのかな、と感じる。ストーリーの起承転結に重きを置いた撮影というか。なので、面白いし娯楽作品として安心だが、途中で退屈もある。平積みの小説読んでいて途中で休憩したくなるような感覚。
  • ただし、骨太の骨格は、さすが名作が多々生まれたとされる80年代の作品。製作年の1986年といえば、国内で「キネマの天地」がはずれ、「子猫物語」がヒットし、ハリウッドでは「トップガン」「クロコダイル・ダンディー」「プラトーン」が興行収入をあげ、チェルノブイリで事故が起き、メキシコでマラドーナが神の手をだした年。
  • 黙示録に暗示された死、衝撃的な死に方に「セブン」の原型をみる。
  • 14世紀の異端審問を想像する。正義は絶対のものとして手を伸ばせばそこにあるものではない。命をかけた論争で勝ち得、暗に明に勝者が敗者に強制してきた歴史を想起。
  • 先人の叡智は書物に結集される。いまでは想像もつかないほどの書物、そして情報の価値に思いを馳せる。
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