- 小説「三体」をきっかけに中国文革・文芸系へ。「活きる」「サンザシの樹の下で」に続く、文革題材のチャン・イーモウ作品。コン・リーとのコンビ。2014年、110分、中国。
- 文革時に娘の密告で収監されるルー。愛する妻はショックと心労で記憶障害となり、再会の夫を認識できない。ルーは、記憶の回復を期待し、隣人として接し続けるが・・・。
- 肉親との関係も清算させる文革という歴史。しかし、たった50年ばかり前の話。政治的立場がすべて。この設定の深刻さを、想像すら及ばない異国のものにも切実に伝えてくる。
- そんな中でも一途に夫を愛するコン・リー。常に不安げな表情を宿す。記憶の不確かさを、眉と口角で表す。
- 文革は主題というより舞台設定。夫婦愛と認知症を描いた「アウェイ・フロム・ハー」を想起。
- 質素な室内が印象に残る。激動の時代背景とは対照的に、しみじみとしたとても静かな映画。