【映】戦場のピアニスト(ロマン・ポランスキー)
- フランクルの「夜と霧」を再読し、ふと思い出して観る。ユダヤ教徒の父を持ち、幼少時にゲットーに移され、強制収容所に送還された両親をもつロマン・ポランスキーの代表作。アカデミー監督賞、主演男優賞など。2002年、148分、仏・独・ポーランド・英合作。
- ワルシャワでピアニストとして活躍するシュピルマン。ナチスドイツのポーランド侵攻以降、ワルシャワに黒い影が落ちる。活動制限、ゲットーへの強制移住、強制収容所への収監。難を逃れ、縁者の助けを得、市中で逃亡生活を送るが、ドイツ人将校にみつかり・・・。
- 主題曲はショパンのノクターン第20番。オープニングもここから。祖国ポーランドへの情熱をもち、パリで活躍したショパン。ポランスキー監督の人生とも重なる。シュピルマンは実在の人物。演じるはエイドリアン・ブロディ。知性と弱さをあわせもつ痩身。一度みたら忘れない個性、顔立ち。前回は、「グランド・ブタペスト・ホテル」で拝見。ドイツ人将校役にトーマス・クレッチマン。先日、「タクシー運転手 約束は海を越えて」で拝見。
- 悲惨な現実を真に迫って伝えてくる。現実に遭遇したことのないものにも感じさせるリアリティ。相当の考証。ナチス侵攻以降、雪崩のようにおしよせる悲惨が描かれる。ヨーロッパがひとつになれるなど、だれが想像しえたであろう傷跡。有史来、大陸で繰り広げられ続けてきた骨肉の争い。戦局が変われば、加害者と被害者は入れ替わる。翻弄される人々。
- ドラマというより史実をつきつけられたような印象。鑑賞後もノクターンが頭に響く。