モグラ談

40代のリベラルアーツ

【映】卍(増村保造)

  • 谷崎原作の映画化。光子役に若尾文子、園子役に岸田今日子。1964年/90分/日。
  • 原作に忠実。ストーリーもセリフもひとつひとつ同じ。原作に比べ圧縮されるが、光子が妊娠していないことを告げるタイミングと、梅子の役割以外は原作そのままではないか。製作側は原作を忠実になぞりながら、自分なりの審美感をのせていったのだろう。多作量産の時代。
  • 園子役の岸田今日子の狂気。甲高い声、感情的な目元・口元が助長する。その後ムーミンの声優をするなどとても想像できない。綿貫役の川津祐介のねちねち感も原作のイメージを高める。
  • 常に破局を感じさせつつ、じわじわと高め、ラストで一気に堕ちていく原作の醍醐味は伝わったか。
  • ラストは、実は、3人のだれかの企みであることの示唆があったのかもしれない、と映画をみて思った。“藪の中”のように。
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