モグラ談

40代のリベラルアーツ

2022-01-01から1年間の記事一覧

【美】畠山耕治 青銅を鋳る(菊池寛実記念 智美術館)

同僚が企画した鑑賞会に参加。陶芸コレクターの菊池智のコレクションを収蔵する同館だが、本展覧会では鋳物を展示。新たな取り組み。 はじめての訪館。都心の凛とした佇まい。交友のあった篠田桃紅の作品でお出迎え。館内の内装自体に作品を取り込む。螺旋階…

【美】荒井良二のアールぶるっと!(世田谷美術館)

ふらりと最終日前日に入館。絵本でお気に入りの荒井良二さんの展覧会と思いきや、世田美収蔵品から同氏がセレクションした展覧会。 “子どものように自由に考え、描くにはどうすればいいか”を考え続けてきた、同氏によるセレクション。まずアンリ・ルソーの“…

【映】預言者(ジャック・オーディアール)

一旦、韓国映画から離れ、ウォッチリストから。「真夜中のピアニスト」のジャック・オーディアール作品。カンヌ(09)グランプリ。主演のタハール・ラヒムは本作でセザール賞の主演男優賞受賞。 6年の服役となったアラブ人青年マリクは、所内のコルシカマフ…

【映】国際市場で逢いましょう(ユン・ジェギュン)

国民的作品と聞き視聴。観客動員数1410万人の感動叙事詩。2014年、127分、韓国。 助演のキム・ユンジン、「シュリ」と「LOST」でおなじみ。主演のファン・ジョンミンは、一時、ソル・ギョング、チェ・ミンシク、ソン・ガンホに続く実力派俳優と称されたとの…

【映】魔女(パク・フンジョン)

“はやく次作をみたい!”と思わせる久しぶりのバイオレンスアクションの名作誕生。2018年、125分、韓国。 実験施設で育てられた殺人兵器の子供たち。脱走した少女ジュヤン。10数年後、とあることから組織に見つけられ…。 浦沢直樹の「MONSTER」を想起しながら…

【映】お嬢さん(パク・チャヌク)

今月は韓国の小説、映画によく触れた一か月。「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク作品。サラ・ウォーターズの「荊の城」(’02)を原案としたサスペンス。2016年、145分、韓国 ‘30年代日本統治下の韓国。現地の富豪と日本人令嬢秀子、その財産を狙う詐欺師…

【映】アクト・オブ・キリング(ジョシュア・オッペンハイマー)

いつしか登録したウォッチリストから。2012年、121分、デンマーク・ノルウェー・イギリス合作。 60年代のインドネシアで吹き荒れたレッドパージ。ギャングたちも加わり100万人規模の虐殺が行われたといわれる。被害者への取材が禁止された製作陣は、加害者に…

【映】スポットライト 世紀のスクープ(トム・マッカーシー)

「ミート・ザ・ペアレント」(00)に俳優として出演していたマッカーシー監督。本作でアカデミー作品賞。2015年、128分、米。 神父による性的児童虐待と、これを看過してきたカトリック教会という巨大権力に、職業生命を賭して挑む記者たちを描く。骨太の社…

【映】妻への家路(チャン・イーモウ)

小説「三体」をきっかけに中国文革・文芸系へ。「活きる」「サンザシの樹の下で」に続く、文革題材のチャン・イーモウ作品。コン・リーとのコンビ。2014年、110分、中国。 文革時に娘の密告で収監されるルー。愛する妻はショックと心労で記憶障害となり、再…

【映】地球が静止する日(ローランド・エメリッヒ)

いま生きている幸せをかみしめたく地球滅亡系の映画連投3本目。1951年の同名作品を一新したリメイク。キアヌ・リーヴスとジェニファー・コネリー共演。1950年代といえば、クラーク、アシモフ、ハインラインらのSF作家が活躍したSF隆盛期だな、などと思い観て…

【映】ムーンフォール(ローランド・エメリッヒ)

いま生きている幸せをかみしめたく地球滅亡系の映画連投2本目。「インデペンデンス・デイ」「デイ・アフター・トゥモロー」のローランド・エメリッヒ監督×ハル・ベリー、パトリック・ウィルソンということで観てみたが。。 原因不明の力で軌道を外れた月が地…

【映】グリーンランド 地球最後の2日間(リック・ローマン・ウォー)

いま生きている幸せをかみしめたく地球滅亡系の映画を何作か。「300」でヒットしたジェラルド・バドラー主演。2020年、119分、米。 彗星の破片が隕石となり地球に衝突。さらなる巨大隕石による世界崩壊まで残り48時間に迫る中、一部の市民がシェルターへの避…

【映】ザ・マスター(ポール・トーマス・アンダーソン)

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(2007)のポール・トーマス・アンダーソン監督作品。ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン共演。ベネチア銀獅子(監督)賞、男優賞。2012年、138分、米。 第二次大戦でトラウマを抱えた帰還兵フレディ…

【音】日本フィル とっておきアフタヌーンvol.20:太田弦(2022/09/27)

サントリーホールのほどよい企画。この回は、モーツアルトのピアノ協奏曲第20番とベートーヴェン交響曲5番。指揮は若手の太田弦さん。ピアノは仲道郁代さん。 ピアノ協奏曲第20番、生音で聞いてみたかった。部屋で聞くのとはやはり大きく違う。なめらかで、…

【映】アリス・イン・ワンダーランド(ティム・バートン)

原作を読みなおし、複数の絵本を読み比べ、映画も手に取ったアリスウィークエンド。ティム・バートン監督、アリス役は(ちょっとグウィネス・パルトロウ似の?)ミア・ワシコウスカ。ジョニーデップ、アン・ハサウェイ共演。2010年、109分、米。ディズニー作…

【映】翔んで埼玉(武内英樹)

名作がこんなところに。「のだめ」「テルマエ・ロマエ」シリーズの武内英樹監督。二階堂ふみ、GACKT、伊勢谷友介、ブラザートム、麻生久美子、加藤諒と、どこかふざけている面々が彩る。2019年、107分。 東京に対し圧倒的に劣位に置かれる埼玉。東京に行くの…

【映】薔薇の名前(ジャン=ジャック・アノー)

「愛人ラマン」「セブン・イヤーズ・イン・チベット」のジャン=ジャック・アノー監督。ショーン・コネリー主演、子役のクリスチャン・スレーターは、どこかで観たどこかで観たと思いながら思い出せなかったが、「トゥルー・ロマンス」の彼だった。1986年、1…

【映】MAMA(アンドレス・ムシェッティ)

デル・トロ製作総指揮、「IT “それ”が見えたら終わり」のアンドレス・ムシェッティ監督ハリウッドデビュー作。2013年、100分、スペイン・カナダ。 破産し、共同経営者と妻を殺害し、娘二人をつれて失踪した兄を探すルーカス。5年後、山小屋で変わり果てた娘…

【映】マーシュランド(アルベルト・ロドリゲス)

いつもと違った雰囲気でもと思いスペイン映画から。田舎町を舞台にしたクライムサスペンス。ゴヤ賞では作品賞、監督賞など10部門受賞。2014年、105分、スペイン。 フランコ独裁政権の爪痕のこるアンダルシア地方の田舎町。町の祭りにあわせて起きる少女連続…

【美】生誕140年 ふたつの旅 青木繁×坂本繁二郎(アーティゾン美術館)

1882年に久留米でともに生を受けた二人。日本の洋画が成熟に向かう中で、それぞれ独自の作風を探求。28歳で夭折した青木、40歳前にしてパリ留学を経て緩やかに画風を変化させていった坂本。同郷の二人の回顧展。 青木は、記紀万葉などの日本の神話から着想を…

【映】クロッシング(アントワン・フークア)

イーサン・ホークwithトレーニングデイのアントワン・フークア監督。間違いない組み合わせなのにまだみてなかった!2008年、132分、米。 悪徳刑事のイーサン・ホーク、うだつのあがらない引退間近の刑事にリチャード・ギア、おとり捜査官としてマフィアに潜…

【映】ハート・ロッカー(キャスリン・ビグロー)

ふと戦場ものを観ようとウォッチリストから。キャスリン・ビグロー監督は本作でアカデミー賞女性初の監督賞。主演はMI6、ボーン・レガシーのジェレミー・レナー。ガイ・ピアースが登場するも冒頭限り。傭兵役のレイフ・ファインズが限られた出番だがいい味。…

【映】さらば、愛の言葉よ(ジャン=リュック・ゴダール)

ふと思い出して観たのが逝去の数日前。偶然。2014年、69分、仏。 断片的な映像を伴った詩の積層、いやパッチワークか。カラーとデジタルが新鮮さを感じさせるが、やはり変わらぬゴダール作品。観る者の脳波を麻痺させる瞬間を投げかけられ続ける。むしろ年と…

【映】ノマドランド(クロエ・ジャオ)

「スリー・ビルボード」のフランシス・マクドーマンドに惹かれ最新作を。クロエ・ジャオ監督も気になっていた。アカデミー賞(2021)で作品、監督、主演女優賞の3部門を受賞。2020年、108分、米。 夫を亡くし、職を失ったファーンはノマドとしてヴァンで暮ら…

【映】神様メール(ジャコ・バン・ドルマル)

“神は実在し、ブリュッセルに住んでいる”という設定。「トト・ザ・ヒーロー」「ミスター・ノーバディ」のジャコ・バン・ドルマル監督作品。ファンタジックな世界観。2015年、115分、ベルギー・仏・ルクセンブルク合作。 神は初めにブリュッセルを創り、家族…

【映】グリーンブック(ピーター・ファレリー)

とてもよかった!!“最強のふたり”(11)で思い出して視聴。ファレリー監督は“メリーに首ったけ”(98)などのラブコメやジム・キャリーのコメディなどで実績。本作でアカデミー賞(19)作品賞、脚本賞、助演男優賞。2018年、130分、米。 人種差別が根強く残…

【英】最強のふたり(エリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュ)

タイトルとジャケットの印象がなんかひっかかってウォッチリストに保蔵のままになっていた一作。いよいよ拝見。イメージと違った。とても素晴らしい作品! この後、ハリウッドでリメイク。2011年、113分、仏。 事故で首から下に麻痺の障害を持つ大富豪のフィ…

【映】パンズ・ラビリンス(ギレルモ・デル・トロ)

“シェイプ・オブ・ウォーター”(17)に続きデル・トロ作品。アカデミー賞(07)撮影賞、美術賞、メイクアップ賞。題名の“パン”はギリシャ神話の牧羊神。彼が少女を異界に導く。2006年、119分、スペイン・メキシコ合作。 スペイン内戦下の1944年。山中に立て…

【映】ムーンライト(バリー・ジェンキンス)

前情報なしで鑑賞。なるほど、これまで描かれてこなかった世界。すばらしい作品。アカデミー賞、作品賞、助演男優賞、脚色賞。ブラッド・ピット製作総指揮。2016年、111分、米。 恵まれない家庭環境、貧困・犯罪地域で生きる少年の成長を、少年期、ティーン…

【映】帰ってきたヒトラー(デビッド・ベンド)

ドイツのベストセラー小説の映画化。ヒトラーが現代にタイムスリップ。コメディでもあり目前に潜んでいる再来への警告でもある。2015年、116分、独。 1945年から2014年にタイムスリップしたヒトラー。偶然、ロケ中のテレビの背景に映り込み、レイオフされた…