【映】パターソン(ジム・ジャームッシュ)
- 「ブラック・クランズマン」のアダム・ドライバーがよかったので、ウォッチリストから。2016年/118分/米。
- 超久しぶりのジム・ジャームッシュ作品。学生のときに好んでみていたのを思い出す。前回観たのは、「コーヒー&シガレッツ」だったか。
- 静かにはじまり心地よく進んでいく。まさに心地よく進む。これがジャームッシュのスタイルと思い出す。
- 妻と目覚め、心の通っているのか通ってないのかわからない愛犬がいて、詩の言葉を考えながら職場に歩いて向かい、乗客の世間話に耳を傾けながらバスを運転し、犬の散歩がてらきまった時間にいつものバーにいく。定時定型の満ち足りた幸せな生活。必要なものは手元にある。
- ジャームッシュ作品、昔感じたものと異なるものを感じる。かつては、ファッションだった。総合的で個人的な様式美というか。本作は、永瀬正敏との会話のシーンにこそかつてを想起させるが、全体としてこの様式美がドラマと融合してきたというか、熟練を感じさせる一作。
- 作品の開始から終わりまで、“しみじみ”を表現し続けることで、静けさや親密さとそこにある幸せを観るものの心にしっかり残していく。本作はさらに踏み込み、“ここにある生活・ここにある幸せ“のありがたさをある種の正義のように、そうでない流れへのアンチテーゼとして示している、ようにも思える。
- 詩をモチーフとする詩的な映画。起承転結のない世界。
“We have plenty matches on our house. We keep them on hands always”