【映】バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ)
- 「バベル」「21グラム」のイニャリトゥ作品。アカデミー作品賞、監督賞ほか(’15)。マイケル・キートン主演。エドワード・ノートン、ナオミ・ワッツ、「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーンなどが脇を固める。2014年、120分、米。
- ヒーロー映画「バードマン」でかつて一世を風靡したリーガン。復活をかけブロードウェイ舞台に演出・脚本・主演で挑む。様々な問題、自信の喪失・迷いに直面しながら舞台初日を迎えるが・・・。
- ドラムのインスト、脳裏に響く“バードマン”の悪意、映像は連続させ時間を変位させる表現、舞台と楽屋と屋外のシームレス感など、新しい演出がスタイルを創る。このスタイルが本作のオリジナリティと感じる。
- 復活しキャリアを飾る、エゴにとらわれた主人公。生命の歴史における人類やエゴの小ささを娘に気づかされる。
- 演者は演者の、批評家は批評家の言い分がある。「バビロン」同様、ここにもショービズ界への批判と内省がみられる。技術を磨きリスクをとって表現すること、それができていない現状への指摘。
- 後半に進み、終幕の展開に不安を感じさせる。ただならぬ終末になるのではないかと思う一方、想定内のエンディングになってほしくないと感じながら観る。
- 「かつての成功者のエゴと葛藤と再生」というストーリーはよそにおく。新たな様式美に本作の魅力。