モグラ談

40代のリベラルアーツ

【美】村井正誠あそびのアトリエ(世田谷美術館:2020/2/16)

開催情報

【概要・雑感】

  • 村井正誠(1905-1999)は戦前から活躍する日本抽象絵画のパイオニア。渡仏後、1939年から世田谷に自宅兼アトリエを構え、終生活動。アトリエは現在、隈健吾の設計で美術館として運営される。村井正誠の業績は正直存じなかったが、関連イベントの隈研吾の講演会にあわせて鑑賞。
  • 抽象画は感受したものをうまく言語化できないためか、消化不良感が残りがちだが、村井氏の作品には、直接響きかけてくるものがある。黒の太い輪郭の線描と塗りつぶされた幾何学模様の配置は、奥行き感のあるユニークな抽象表現と感じた。
  • 隈健吾氏の講演では、村井氏の作品に、ゆらぎ、生活との一体性、大胆さを見出し、これに係るデザイン、技法を用いた建築作品が紹介された。作品には“大胆”が必要なこと、古いものに“面白さ”を見つけられることが大切、とのメッセージが記憶に残った。

 

【もう1冊】

  • 新・建築入門-思想と歴史隈研吾,1994,ちくま新書) ⇨20世紀末の建築の状況を混乱と捉え、その背後に建築自体の否定・解体の動きがあると仮定し、その理由を歴史から明らかにしようと試みる。主観と客観という切り口から、建築的思想と哲学的思想を交差させ考察する。