【映】8 1/2(2022/2/6)
- フェデリコ・フェリーニ監督、グイド役はマルチェロ・マストロヤンニ、その妻にアヌーク・エーメ。1963年、イタリア、140分。タイトルは、フェリーニの単独監督作8本目に共同製作1/2をカウントしたものに由来。
- 無音のオープニング。渋滞の高速道路、都市社会が顕す個の喪失、車に閉じ込められた人、突然想像の世界に飛び出す。脈絡もなく、フロムの“自由からの逃走”を想起。
- ひとつひとつのシーンにみいる、楽しむ。マストロヤンニが“いかしてる”。
- 43歳の主人公グイド。空想に心をゆだねたくなる。少年時代を思い出し、自らを確認しようとする、再統合を試みる。もう戻ることはできないところまできて気づく。全てが善良で有意義で真実であり、そう受け入れることができる自分に。
- ミドルエイジクライシスに通じるなにか。ノスタルジーにどう折り合いをつけるか。過去を振り返り、妄想する。選びえたかもしれない可能性が横たわる。ないものを求める矛盾から、妄想も破綻していく。
- 右左、マルクス主義、カトリシズム、プラグマティズム etc. 認識のものさしになる選択肢が明確だった時代。
“君は自由だが、選ぶ術を知れ。あまり時間はないから急げ。”