【本】若い読者のための文学史(ジョン・サザーランド)
- イギリス文学を中心に、おおむね時間軸に沿って、小主題でくくりながら、作家と著名な作品を紹介していく。“イングランドの話(チョーサー)”“フィクションの家(ボッカチオ/セルバンテス)”“ロマン派の革命家たち(バイロン/ワーズワース)”といったように。ホメロス、シェイクスピア、ミルトン、オースティン、ディケンズ、テニソン、エリオット etc.
- 膨大な作品の洪水の中で、なにを読むべきか。その道標となることを目指す。そのため網羅的ではないし、作品の解説も批評的満足を期待するには物足りないが、平易に上手にくくりながら紹介してくれるありがたい通史。読書欲を刺激する一冊。
- はじめて知った(文学研究界での)通説いくつか。
- 英文学(あるいは英語で書かれた文学)はカンタベリー物語で有名なチョーサー(1343-1400頃)にはじまる
- 欽定訳聖書の約8割はティンダル(1491頃-1536)訳を採用
- ロビンソン・クルーソーのダニエル・デフォー(1660-1731)がイングランドではじめて“小説”というジャンルを興した
- ディケンズが英国小説家の中で最高峰であるという考え方に反対する人はまずいない
- カフカ(1883-1924)は自身の作品は死後燃やして欲しいと遺言していた
- マルケス(1928-2014)らのマジック・リアリズムは20世紀後半に燃え上がったがその時代は終わったと認識されている
- 組織的な文学賞は20世紀以降の現象であり、最初は1903年のゴングール賞(仏)
- 訳者はシェイクスピア研究で有名は河合祥一郎氏。紹介される英詩は原文も添えられている