モグラ談

40代のリベラルアーツ

【映】パンズ・ラビリンス(ギレルモ・デル・トロ)

  • シェイプ・オブ・ウォーター”(17)に続きデル・トロ作品。アカデミー賞(07)撮影賞、美術賞、メイクアップ賞。題名の“パン”はギリシャ神話の牧羊神。彼が少女を異界に導く。2006年、119分、スペイン・メキシコ合作。
  • スペイン内戦下の1944年。山中に立てこもるレジスタンス掃討軍の大尉のもとに呼び寄せられた妻と娘。娘は異世界の姫のうつりかわり。パンの導きで異界に戻るための試練を課される・・・。
  • 意匠と衣装に力を入れている。全体的に暗めの映像だが、しっかりと美しさの主張が伝わってくる。クリーチャーの造形も迫力がある。
  • シェイプ・オブ・ウォーター”同様、大人のメルヘン。いくつかのシーンを除けば子どもも観られると思いつつ、それでもこれらのシーンはこの世界観を創りあげるために必要なものと思いなおす。
  • 禁断の果実を口にする少女。誘惑に駆られて、自我を支配される演技が印象に残る。
  • レジスタンスへの拷問シーン、残酷。痛い表現はスペイン映画の骨頂のひとつか。
  • 前半からいろいろな期待がプロットされていくが、大きく展開しきれないままラスト、という印象なきにしもあらず。
  • 本作の構想は、“オズの魔法使いオスカー・ワイルドアンデルセングリム童話不思議の国のアリスなどのおとぎ話や児童文学から引用している(wiki)“とのこと。たしかに予定調和のハッピーエンドにはない、昔話の悲劇がここにはある。

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