モグラ談

40代のリベラルアーツ

【漫】へルタースケルター(岡崎京子)

  • 不遇の事故で退くまで10年あまり、過激を投げ込んできた作者の代表作。1995-96連載の作品。翻訳、映画化もされた。
  • 骨と眼球と爪と髪と陰部以外はつくりものの“りりこ”。自意識過剰で見捨てられる恐怖につきまとわれる。歪みながらも、そのエネルギーにのみこまれるマネージャーとその連れ。前半から死臭が漂ってくる。
  • 虚栄と破滅だけならものたりなかったかもしれないが、そこにサスペンスがうめこまれ、物語を支える。
  • 独特の空気感。コマとコマの間が“乾いている”というか、無音を読み手の頭に置き残していくというか。
  • 装丁もよい。野本卓司氏。若さと疲労がにじみでた裸体。

“ぼくときみは前世で、ある神父の同じ帽子の羽だった”

作品情報