モグラ談

40代のリベラルアーツ

【漫】わたしは真悟(楳図かずお)

  • 楳図かずお大美術展をやっていると知り読了。楳図作品、小学生のときに読んだ「漂流教室」の衝撃は忘れられない。本作は、1982-86にスピリッツに連載。楳図のオリジナリティは突出するが、“他作品から影響を受けることを恐れて漫画や映画、アニメ、小説などには一切触れない”とのこと(wiki
  • 強烈に惹かれ合う少年少女と、彼らによってもたらされた産業用ロボットの意識の拡張と進化の物語。東京、ロンドン、エルサレムを舞台とした壮大な叙事詩
  • 一コマ一コマが劇場的であり、絶えざる緊張を生みだす。人間の欲、醜さ、希望。そういった人がもつ根源的な塊のようなものをストレートにつきつける。有機体のように変化していく電子回路は、避けられない未知の恐怖を助長する。
  • 意識が芽生え、世界を知り、罪と業を自覚する。自らをなげうち、想いを伝える。誰かの想いを誰かに伝えるということの重み、それに値する想いを生みだせる“生”を生きているのか、そんな投げかけを感じた。
  • 楳図作品は、読み手の理屈を作品にあてはめられない。作者の世界観をありのままとりこもうとする読み方から新しい理解が生まれる、ような気がする。

“奇跡は誰にでも一度おきる だがおきたことには誰も気がつかない”

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