【本】アフターデジタル2 UXと自由(藤井保文)
- 仕事の参考にUXの本を何冊か図書館から。 著者はUXコンサル。中国での経験が長く、本著の事例も中国のものが豊富。
- 読書というか、調べもののような読み方をした。2年前の本だが、新事業の世界はこの5年ですっかり様変わりした(UX、デザインスプリント、プロダクトマネジメント、カスターサービス…)
- 以下備忘。そのとおりと思うことばかり。実践の世界。
- 属性データの時代から行動データの時代に。そこでは、人を“状況”単位で捉えることができる。よって、ユーザーの“状況”理解が決定的に重要。“状況”は時系列的な因果の連鎖で発生するため、“出来事”としてではなく、“こんがらがった構造やシステム”として理解すべき
- ユーザーの“状況”により、世界観が決まり、発揮すべき強みが明らかになる。よって、それが定まる前に、ビジネスモデルから先に考えるのは失策
- 商品販売型から体験提供型ビジネスになる。そこでは、日常的な価値提供のために高頻度・定常的な状況把握が基本に
- 体験提供型ビジネスでは、年次の収支ではなく、顧客のLTV(Life Time Value)で捉える(顧客獲得コストの1倍以上の売り上げを18か月以内で確保できると健全という説)
- オンとオフを分けるのではなく、一体のジャーニーとして捉え、これをオンラインの競争原理で考える(≠オフにオンを付加)」(OMO:Online Merges with Offline)
- すべての接点が一つの世界観でまとめ上げられ、そのジャーニーで顧客がずっと乗り続け、企業はずっと寄り添い続ける(バリュージャーニー型ビジネス)
- 世界観の定義(例)「ユニークで心に刺さる、ブランドの見た目、語り口、振る舞い、佇まいについての基本方針とその実装」(佐々木康裕)。一言では、「ジャーニー全体に一貫するコンセプト」
- 動きが速い中国はブラックリスト型(やってはいけないことを決める)、日本はホワイトリスト型(やっていいことを決める)
- 行動変容誘因の法、規範、市場、アーキテクチャーのうち、社会のアーキテクチャーを民が設計できる時代に。よって民はその自覚が必要
- 行動データを自社利益につなげるだけでなく、UXに還元することでユーザーとの信頼関係を作り、提供価値を増幅させることが重要
- UX力の要諦:
- コンセプトフェーズ:①企業のDNAと社会経済のマクロトレンドの理解、②ペインポイントのゲインポイント化(「不幸せな状況」を「幸せなサイクル」に変える“トリガー”をひたすら考える)
- 設計フェーズ:①コア体験・高頻度接点・(ユーザーの)成長シナリオを設計、②自動化する体験
- 更新フェーズ:①ユーザー行動のパターン分析、②仮説・施策結果のモニタリング
- リリースはゴールでなく、アーキテクチャーを動かし、育てていくプロセスのスタート
- DXでは、「単発の事業が成功する」より、「組織としてバリュージャーニーの企画運用ができるようになる」ことのほうがよほど重要
- あわせて「ITエンジニアのためのUXデザイン実践ノウハウ」も借りる。こちらはNTTデータのエンジニアさんたちが執筆。ガイドラインっぽい。こちらも備忘録。
- UXデザインフェーズ例:JJGの5階層モデル(戦略、要件、構造、骨格、表層)
- 通常、人の目線は「F」の字を描く(上部を左から右、少し降りて左から右、最後に左側を上から下)
- CUD(カラーユニバーサルデザイン):色弱では、赤が暗く見えるP型、緑が暗く見えるD型が多い(赤と緑の扱いは注意)
- 様々なチェックリスト:ユーザービリティ(10 Usability Heuristics for User Interface Design)、アクセシビリティ(JIS、みんなの公共サイト運用ガイドライン(総務省))、UX(UXハニカム)
“UXを議論しないDX、顧客視点で提供価値を捉えなおさないDXは、本末転倒である”