モグラ談

40代のリベラルアーツ

【映】シェイプ・オブ・ウォーター(ギレルモ・デル・トロ)

  • 「ナイトメア・アリー」がよかったので、デル・トロ監督からもう一作。2017ベネチア金獅子賞、2018年アカデミー作品賞ほか4部門受賞。2017年、124分、米。R15+の大人のファンタジー
  • 政府の研究所で清掃員として働くイザイラ。研究材料として持ち込まれた魚人に触れ、愛着・愛情を持ち、生体解剖から救い出そうとするが・・・。
  • 静かなオープニング。水面下の建物内に差し込む光芒。頭に、“ラビリンス”という言葉が浮かぶ。美しい色使い。青緑を基調とする。水の色、雨の色、人魚の皮膚、車の色・・・。
  • 声を失った主人公と言葉を知らない魚人。アンデルセンの人魚姫は魚人側が声を失った設定だったなと想起。
  • 主人公のイザイラ役のサリー・ホーキンス、本作で銀熊賞とのこと。はじめて観た。一見地味で常識的、思慮深く、一方で大胆で本能的、そんな印象を受ける。職場の同僚ゼルダ役のオクタビア・スペンサーがまたいい人間味。隣人でありよき友人の画家役にリチャード・ジェンキンス、「ナイトメア・アリー」にはなかった良心。追いつめる軍人役のマイケル・シャノンの狂気、「ナイブズ・アウト」でも際立っていた。
  • 「ナイトメア・アリー」でも見られたちょっとした共通点。入浴する、腕時計の時間をあわせる、ダンスシーン、アルコール依存症の善人、生き物の頭部を食べる、ドアが閉まる直前に手を引く、古きよきアメリカとBGM・・・。
  • 会話も飽きさせない。ちょっとした日常の箴言いろいろ。“背の低い男は浮気する。下のほうの酸素が薄いのかも”“手を洗うのが用を足す前か後かでその男がわかる。前後2回は軟弱な証拠”“コーンフレークの開発目的は自慰防止だが失敗した”“すべての希望は春と共に消える”・・・。

”あなたの姿がなくても気配を感じる。あなたの愛が見える。愛に包まれて私の心は優しく漂う。”

作品情報