【映】パラサイト 半地下の家族(109シネマズ二子玉川:2020/2/22)
【概要・雑感】
- 第72回カンヌでパルムドール、第92回アカデミー賞作品賞を含む4部門受賞の話題作。ポン・ジュノ監督と主役ソン・ガンホのタッグは「殺人の追憶」「グムエル」でみた記憶が蘇った。
- 家族それぞれの個性が魅力的。ソン・ガンホが霞んで見えるほど。母親役のチャン・ヘジンの安定した演技力、子を想う肝っ玉母さんの魅力に惹かれた。今後に注目。姉のパク・ソダムのツンデレ感もよい。
- ふざけた会話で笑わせつつ、猟奇色ある社会派サスペンスで観るものを惹きつける韓国映画の魅力が詰まった一作。ラストシーンは、“格差社会を受容しサバイブせよ”というメッセージか、陽のあたる庭園を互助の福祉社会への期待に重ねて見せたのか、考えさせられた。そして、その邂逅のシーンに距離をおき、庭園をそぞろ歩く母親は社会に対する諦観の象徴か。トランプが本作受賞に否定的であったのは、外国作品だからではなく、目下勢いを増すサンダースの政策と本作のメッセージが基底を同じくしていたためではないか。
- 格差が人の心に植えつける疲弊、怒り、諦めを、染みついて落としきれない汚臭に重ねる。臭いは記憶と一体化し、容易には消えない。
【もう1冊】
- 格差社会 何が問題なのか(橘木俊詔,2006,岩波新書) ⇨出版当時に比べると、格差問題はより深刻な社会課題化している。格差問題を扱う大御所労働経済学者の入門書。
- 現代の貧困-ワーキングプア/ホームレス/生活保護(岩田正美,2007,ちくま新書) ⇨貧困の実態をつぶさに整理。抜け出せない人々の現状を示し、対策を提言。