モグラ談

40代のリベラルアーツ

【映】スリー・ビルボード(マーティン・マクドナー)

  • 名演技が十二分に引き出された良質なドラマ。フランシス・マクドーマンド主演、本作で二度目のアカデミー主演女優賞。2017年、116分、英。
  • 娘を殺された母親、捜査不十分として所轄署長を路上看板で批判。ガンで余命短い署長、差別意識の強い巡査、同情するものの過激な対応を非難する住民、見つめる息子・・・。
  • 母親役にマクドーマンド、なにかの塊を胸に沈めたまま執拗に攻撃する。署長役にウッディ・ハレルソン、ナチュラル・ボーン・キラーズ(94)の印象が強かったが、田舎の警察署長として異色の存在感。高圧的な巡査役はサム・ロックウェルコンフェッション(02)やマッチスティック・メン(03)で見覚え。こちらも素晴らしい演技、本作で助演男優賞
  • 受け止められない途方もない喪失に遭遇したときに人はどうすればよいのだろうか。責任をどこかにおしつける、目をそらす、閉じる、逃げる・・・。それぞれがそれぞれの正義を持つ。あるいはそれぞれがそれぞれの罪を贖う。
  • 後半、署長に救世主を重ね感じる。自らの宿命を受け入れ、贖罪し、残されたものを救う。
  • 手紙が母親の思いを動かす。手紙を読み、心が変わっていくシーン、ただ手紙を読むシーン、心情変化が伝わってくる、記憶に残るシーン。
  • 良質のドラマ。クリント・イーストウッド作品の優しさと余韻に通じるものを感じる。これ以上ないラスト。

“Are you sure about this?”

 “Killing this guy? Not really, you?”

  “No really.”

   ”I guess we decide on way.“

 

作品情報