モグラ談

40代のリベラルアーツ

【美】荒井良二のアールぶるっと!(世田谷美術館)

  • ふらりと最終日前日に入館。絵本でお気に入りの荒井良二さんの展覧会と思いきや、世田美収蔵品から同氏がセレクションした展覧会。
  • “子どものように自由に考え、描くにはどうすればいいか”を考え続けてきた、同氏によるセレクション。まずアンリ・ルソーの“サン=二コラ河岸から見たシテ島“。素朴派といわれるルソーは、素朴を探究した世田美の象徴ともいえる画家。本展覧会も、素朴派や正式な美術教育を受けることなく制作されたフォーク・アートやアール・ブリュットアウトサイダー・アートなどを展示。作家の人生は様々。
  • ほぼすべての作品に荒井氏の手書きのコメントが付される。ポップみたい。感じたことを素朴に表現する。感性に共感する。
  • 印象に残った作品いくつか。ロジャー・アックリングは木片に太陽光線で焼き目をつける。草間彌生のコラージュ。表現主義的だがみていて気持ちのよいポスターアートのようなカルロ・ジネッリの“無題”。存在感と迫力と愛らしさに圧倒されるウィリアム・ホーキンズの“バッファロー#6”。エルンストの“ヤヌス”、河了貂(キングダム)の着ぐるみの原型がここに。 荒井良二氏の“花の草”、少女の首元を断ち切るリボン、水色の世界、手元から噴き出すなにか。
  • もっとも目を惹いたのは、イヴァン・ラツコヴィッチの“散在する村落。板ガラスに油彩。輝きと落ち着き。素朴だがシュール。生命があり天啓があり人工がある。眺めれば眺めるだけ、なにかしらの発想が生まれそう。
  • 素朴派としてくくれない様々な画風、技法、自由な発想の広がり・多様さ。一人ひとりの作家が内面に持つ可能性の無限性。心を打つ作品は世界にたくさんあるはず。見つけ出し、意味をつけ、展覧していく取り組みの可能性を感じさせた展覧会。
  • 偶然、館内で荒井良二さんらしき人を見かける。館内の資料室で熊谷守一高橋由一の画集を眺めて帰る。

展覧会情報