モグラ談

40代のリベラルアーツ

【映】バーニング(イ・チャンドン)

  • ペパーミント・キャンディー」「オアシス」のイ・チャンドン作品。春樹の短編小説「納屋を焼く」原作。カンヌで国際批評家連盟賞。2018、148分、韓国
  • 青年ジョンスは偶然、幼馴染のヘミと再会。近づく二人。海外旅行から戻った彼女が連れてきた男ベンの登場が世界を変えていく・・・。
  • ジョンス役はユ・アイン。素朴がよい。ヘミ役はチョン・ジョンソ。コケティッシュとまっすぐさを兼ね備える。ベン役はスティーブン・ユァン。ウォーキングデッドでブレイクとのこと。初見だったが、ギャッツビー役はまっている。
  • 展開に期待するサスペンスとしては密度が高いとは言えない。猟奇連続殺人は韓国映画の鉄板の主題といえるが、本作はその枠ではとらえられない。ミステリアス感に引き込まれていく。結末は最後にではなく、徐々に理解されていく。それが生み出す緊張感。暗喩と暗示。批評家好みともいえる。
  • アルバイトで生計をたてるジョンスは、“韓国はギャッツビーが多い”と成金と格差を批判する。ベンは、ビニールハウスを燃やす趣味を伝え、“ビニールハウスは、役立たずで、汚くて目障りなもの。燃やされても誰も気づかないもの”と、むしろ下層社会やそれを温存する旧体制に冷酷な態度を示す。
  • ハイになりアフリカを思い出し裸で踊るヘミ。背後に夕日が沈む山々。自然の象徴。突然醒める。背後に太極旗。体制の象徴。
  • イ・チャンドン監督、次作を期待したい。