モグラ談

40代のリベラルアーツ

【映】ポンヌフの恋人(レオス・カラックス)

  • ウォッチリストから。マノンレスコーを読んでいて、なぜか思い出して観る。1991年、125分、フランス。「存在の耐えられない軽さ」「トリコロール 青の愛」「ショコラ」で有名なジュリエット・ビノシュ出演。
  • 立ち入り禁止のポンヌフ橋で生活する大道芸人アレックスと、失明と失恋で失意にさまよう画学生ミシェルが出会う・・・。
  • チェロが流れるオープニング。20分近くセリフらしいセリフがない。静かに始まり、次第に不安定が投げ込まれていく。詩的表現を目指している。
  • 理屈や約束からではないはじまり。唯一で、強く結ばれているようで、脆弱なつながり。語り手がいない映像詩。二人の心情理解が及ばないまま、刹那的、感情的、原始的な二人が描かれる。なぜそこに愛と感じているものが生まれたのか。
  • 希望を失ったものの、自分では気づかずあふれてくる、行き場を失った生命力。他人から奪いながら二人だけの世界でふるまう。
  • なにかを感じる努力をしてみたがみつからず。作り手の想いが発散しているように感じる。時折、陳腐と紙一重の映像。退屈なラスト。

“誰かが君を愛している。君が誰かを愛していたら、「空は白」と言ってくれ。俺は「雲は黒」と答える。それが愛の始まりだ。”

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