モグラ談

40代のリベラルアーツ

【美】東山魁夷と四季の日本画(山種美術館:2020/12/25)

開催情報

【概要・雑感】

  • 年末年始は郷土や日本の美を想い起こす時期。ということで、いつも素晴らしい企画の山種美術館。今回は頑張ってチャリで激走。
  • “青の画家”と称された戦後の国民的画家、東山魁夷。群青の豊かさ、美しさ、静謐、境界のやさしさ。静音や湿度まで漂ってくる空気感。作品のとなりに魁夷の言葉が添えられる。しみじみあじわえるよい展覧会。
  • 目玉は、京都の四季を描いた“京洛四季”。川端康成に「京都はいま描いといていただかないとなくなります。京都のあるうちに描いておいてください」との言葉を受け制作。稜線の優しいぼかしと桜の桃色とのコントラストが美しい「春静」、青緑の深み・広がりを感じさせる「緑潤」、黄と紅の楓が紫の山影に際立つ「秋彩」、積雪の音を吸収する夜気が伝わってくる「年くる」、の4作。”京都の自然は庭園であり、京都の庭園は自然である“とのこと。
  • 四季図は日本では有名な題材。四季山水図、四季花鳥図、四季耕作図など。
  • 菱田春草、河合玉堂、山口蓬春、安田靫彦、杉山寧、上村松篁などゆかりのある作家を紹介。世に上手な絵は多数あるが、これらの作品となにが違うか考える。美と向き合い続けることで生まれる境地、拓けた境地が導く筆にあるのかな、などと想う。
  • 戦後の不幸・不遇の中、各地の自然と風景を詩情豊に顕す。“人間と自然が無常の流れに生きる”同根“の存在だと自覚し、目に映る景色に自己の内省的側面を投影して描くようになり、戦後の風景画家として歩みだした”とのこと。
  • 絵に添えられた魁夷の言葉に師の玉堂への感謝が綴られる。師弟の伝承なるものは、スキル時代の教育でどう成し得るか?

 

【もう1冊】

  • 東山魁夷(別冊太陽,2008,平凡社)⇨絵も解説も楽しめる一冊。別冊太陽いいね。