【美】部屋のみる夢 ボナールからティルマンス、現代の作家まで(ポーラ美術館)
- 移動が制限された状況で多くの人が多くの時間を過ごした「部屋」という空間に注目し、19世紀以降のこれにまつわる作品をとりあげる。モリゾ、ハマスホイ、ボナール、ヴュイヤール、マティス、ティルマンス、草間彌生など。
- ハマスホイの“陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地”。幸福がたたずむ。静けさをまとった空気と質量を感じる。
- ボナールの作品11点。子供たちや、猫など日常を描く。暗緑とぼかされた輪郭線がどこかしらもの悲しさを生むが同時に安寧を感じさせる。ボナールの代名詞ともいえる浴女2作展示。室内の大きなタライで体を洗う。室内という私的空間の、そのまた私的空間で行われる私的行為。
- マティスはたしかに“部屋の画家”かもしれない。ニースの陽光に照らされた部屋と女性を描く、というイメージがあった。室内の調度品、壁紙、カーペット、花瓶や植物を色彩で生まれ変わらせる。モデルの女性の服装とこれらの色彩の対比が印象づく。
- ベランダやバルコニーを好んで描いたモリゾ。女性の社会進出を背景に、屋内と戸外の境界を意味するこれらの場所を、閉じ込められてきた家と社会という外の世界の境界と暗喩し、そこに女性を佇ませる、ということらしい。
- コレクションの印象派作品を観て帰路。藤田の言葉が印象に残る。
“線とはたんに外郭をいうのではなく、物体の核心から探究されるべきである”