モグラ談

40代のリベラルアーツ

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

【本】資源争奪の世界史(平沼光)

エネルギー史に興味を持ちまずライトな感じのものを図書館で。 著者は、東京財団の研究員。エネルギー関係の国の部会委員も務める。本著は、エネルギー≒化石燃料、という観念をはらい、広く資源の観点から、覇権争いの歴史を整理。サブワードは、スパイス、…

【本】マダム・エドワルダ(バタイユ著、中条省平訳)

積読から。開くとまず、吸い込まれる。 “きみがあらゆるものを恐れているなら、この本を読みたまえ。だが、その前に断っておきたいことがある。きみが笑うのは、なにかを恐れている証拠だ・・・” 娼館で出会ったマダム・エドワルダ、語り手の不安と脆弱が彼…

【本】神曲 地獄篇(ダンテ作、平川祐弘訳)

タイムズ誌の文芸付録で「過去千年間の最高傑作はなにか?」と文芸批評家にしたアンケートで選ばれたらしい本作。聖書を除けば、歴史上の最高傑作、という評なのかもしれない、キリスト教世界においては。原題はイタリア語で“La Divina Commedia”。はじまり…

【映】たかが世界の終わり(グザヴィエ・ドラン)

ドラン作品。英題は、It's Only the End of World 。2016年、99分、カナダ・フランス合作。レア・セデュー、ヴァンサン・カッセル、私はロランスのナタリー・バイ、エディット・ピアフのマリオン・コティヤールといった面々。主演のギャスパー・ウリエルは本…

【本】愛(苫野一徳)

直球タイトル。哲学の意義は、本質を洞察し原理を提示することとし、愛をその対象とする。 “わたしたちのうちにありありと感じられる愛の感情、体験。その本質を内省によって洞察し、それが真に普遍性を備えたものであるかどうかを確かめること。このような…

【本】ハイデガーの思想(木田元)

一度挫折した「存在と時間」。100de名著で扱われていたので再チャレンジ→やはり挫折→入門書に変更。 著者は、ハイデガー、フッサール、メルロ・ポンティの研究で知られる。新書といえどもなかなかの読み応え。講演録まで射程に含め、ハイデガーの思想を、「…

【映】大統領の料理人(クリスチャン・バンサン)

フランス映画は続けてみたくなる。シェルブールの傘に続き、ウォッチリストから。クリスチャン・バンサン監督、カトリーヌ・フロ主演、2012年、94分、フランス。 片田舎でレストランを営むオルタンス。突然、大統領の私的会合での料理人をつとめることになる…

【映】シェルブールの雨傘(ジャック・ドゥミ)

ウォッチリストから。ジャック・ドゥミ監督、カトリーヌ・ドヌーヴ主演、17回カンヌでパルムドール。音楽は、“愛と哀しみのボレロ”も担当したミシェル・ルグラン。1964年、91分、フランス。 1957年フランス港町シェルブール、愛し合う若い二人、17歳の傘店の…

【本】これからの「社会の変え方」を、探しに行こう。(SSIR Japan)

ソーシャルイノベーション系から一冊。2003年に創設されたスタンフォードソーシャルイノベーションレビュー(SSIR)の刊行記事から、タイトルにちなんだ10編を掲載。 米MBAスクールでは今世紀初頭からソーシャルイノベーション、ビジネスエシックス、社会起…

【音】オルガンプロムナードコンサート(サントリーホール 2022/05/12)

お昼のα波タイム。この日は、フランク(1822-1890)“6つの作品より第2曲「交響的大曲」嬰ヘ短調作品17”。オルガンは梅干野安未(Ami Hoyano)さん。 フランクについて。“フランクはベートーヴェン以降のドイツロマン派音楽、特に同時代のリストやワーグナー…

【本】月と六ペンス(サマセット・モーム、金原瑞人訳)

積読から旅のおともに。モームの代表作(1919)。新潮文庫Star Classics 名作新訳コレクション。軽快で平易な新訳がよい。装丁もグッド。 モーム(1874-1965)は、パリで生まれ、10歳で孤児となり、イギリスにわたり従軍、本作で作家として注目される。平易…

【美】柳沢正人、花暦、収蔵名作展(成川美術館)

こぶりな4部屋でそれぞれ展示。見晴らす芦ノ湖、庭園のつつじ、おなじみの雰囲気。 柳沢正人、“鮮烈な色彩とダイナミックな表現で世界各国の歴史的建造物や自然遺産を描きつづける”。欧州の建築物を背景に彫刻を前景に置く。分断される奥行き感、一見、コラ…

【美】モネからリヒター(ポーラ美術館)

“光”をテーマに、所蔵コレクションと近年の新収蔵作品を合わせて展示。充実した作品集。GWということもあり多数の来館者、モネの集客力。 はいるとすぐにルノワールの“レースの帽子の少女”、日本画から一気に西洋画、油彩画、印象派モードに。モリゾの“ベラ…

【美】花鳥風月 名画で見る日本の四季(岡田美術館)

恒例の箱根美術館めぐり。“春の桜、初夏の牡丹に燕子花、秋の紅葉に冬の雪”。自然に親しみ、行事・風物を通じこれを愛でる瞬間を大切にしてきた日本。日本の絵画を中心に、工芸品を合わせて展示。光琳、抱一、歌麿、北斎、春草、御舟、若冲、田中一村などな…

【本】現代の金融入門(池尾和人)

ロングセラーの改訂版(2010)。ニュースの背景を捉えたいけど、数式・理論まで学ぶのはちょっと、という人にお薦めの一冊。言葉の定義、解説が明瞭。入門書かくあるべし。 著者は元慶応大学経済学部教授、国の審議会委員歴任、バブル崩壊時に審議会委員とし…

【美】鏑木清方展(東京都国立近代美術館)

日曜美術館を見ていて、会期が迫っていることに気づく。大手町から皇居沿いを歩く。散歩日和の五月。没後50年の記念展、2018年に再発見された“築地明石町”を含む大規模回顧展。西の松園、東の清方。音声ガイドは尾上松也さん、とてもよかった。 清方芸術の柱…

【映】友だちのパパが好き(山内ケンジ)

talksessionyandsさんの紹介をみて興味惹かれて鑑賞。いやぁ、いい映画でした(感謝)。山内ケンジ監督・脚本、2015年、105分。山内氏、CMの人と思ってたが、映画も作っていたことを知る。 大学生の娘と両親の3人家族。不幸とまではいえないが、幸せとはいえ…

【映】神々の深き欲望(今村昌平)

ウォッチリストから一作。今村昌平監督、三國連太郎主演、1968年、175分。 今村監督といえば、“楢山節考”と“うなぎ”でパルムドール。いずれも授賞式に出席せず、楢山では戦メリの下馬評を覆し話題になった。 土俗の習慣で営まれる南の孤島「くらげ島」。神聖…

【本】大いなる遺産(C.ディケンズ、加賀山卓朗訳)

海外古典(?)文学に手が伸びる春。なんとなくディケンズ(1812-1870)。原題は、Great Expectation。新潮文庫のstar classicsシリーズ。落着きある装丁、質感もよいし、文字も読みやすい。加賀山氏の翻訳、登場人物の人柄がしみじみはいりこんできていいね…

【映】マティアス&マキシム(グザヴィエ・ドラン)

ドラン作品がみたいと思い新作。兼主演、120分、2019年、カナダ。 友人の妹の自主製作映画に出演し、ディープキスをすることになったマットとマックス。それを機に二人の感情は揺らいでいく。マックスが海外に旅立つまでの2週間、呼びさまされた感情、過ぎて…

【本】ニーチェ入門(清水真木)

読んでこなかったニーチェ(1844-1900)。“ツァラトゥストラ”を手にするには、木を見て森を見落としそうな気がして入門書。入門書いろいろあれど、本書は、ニーチェの生涯、キーワード解説、著作解題ととてもよいバランス。ニーチェ自身の病の経験から、思索…

【アニメ】つみきのいえ(加藤久仁生)

娘がまだ小さかったころ、よく読み聞かせした一冊。アニメーションを発見。アニメが先だったらしい。12分のheartful piece。 読み聞かせでは、登場人物や情景への想像にひたっていった。アニメでは、最初は観察的に、だんだん自分に重ね、思い出にいざなわれ…