モグラ談

40代のリベラルアーツ

【美】沖縄の美(日本民藝館)

なかなかタイミングがあわなかった民藝館。旧宗悦邸の西館を拝観できる水曜日に訪問。 民藝の父、柳宗悦(1889-1961)。民衆的工芸品、民衆の日常品に“健康な美”“正常の美”が宿っていることを見出す。倉敷紡績二代目社長大原孫三郎の寄付を受け、念願の美術…

【映】トップガン マーベリック(TOHOシネマズ渋谷)

よかった。観たいものすべて観せてくれた。すべてのシーンが響いた。ノスタルジーに満たされすぎてあふれた。ハリウッドの映画は、よかった、面白かった、すごかった、となぜか表現が貧相になってもどかしいが、本作もしかり。 滑走路でNinjaにまたがり疾走…

【美】水のかたち 源平合戦図から千住博の「滝」まで(山種美術館)

いつもながら山種さんの素晴らしい企画。千住博氏の滝は一度観てみたかった。広重の名所絵、河原龍子、千住博のほか、土牛、玉堂、青樹、春草、大観、丘人、安田靫彦などなど。 人々の生活と水とのかかわり。雨、霧、雪、渓流、湖畔、浜辺、荒磯、鳴門…。そ…

【アニメ】ヴァイオレット・エヴァーガーデン(石立太一)

このためにネットフリックス登録。ラノベ原作の名作。京都アニメーション制作、2018年、13話。一気に観る。 戦闘兵器として育てられた少女。少佐に名前と愛情をもらう。少佐との別れ際に受け取った言葉の意味を理解するために代筆職“自動式人形(ドール)”に…

【映】ゴッホ 最後の手紙(ドロタ・コビエラ/ヒュー・ウェルチマン)

ウォッチリストから。原題は、“Loving Vincent“。ゴッホの死の真相を、生前テオに書かれた手紙を託された若者の旅を通じて捉えていく。全編、油絵風のアニメーション。2017年、96分、イギリス・ポーランド合作。声優は、主役の若者が山田孝之さん、彼に手紙…

【映】曽根崎心中(増村保造)

ウォッチリストから。増村監督×ATG。梶芽衣子がお初、宇崎竜童が徳兵衛役。1978年、112分。 ATGは、アート系作品の普及を目的に、川喜多かしこの活動を契機に1961年発足。大島渚、羽仁進、今村昌平、森田芳光などを育て、支え、1992年に活動停止。 増村は、…

【映】さよなら、人類(ロイ・アンダーソン)

ブラックでシュールな作品、ベネチア金獅子賞、ということで観てみたが。。2014年、100分、スウェーデン・ノルウェー・フランス・ドイツ合作。そうえいば、昔、いか天で同じタイトルの曲がはやったなぁ、などと回想。 オープニングの空気から、常識的でも計…

【音】都響 第953回定期演奏会Aシリーズ:小泉和裕(2022/06/13)

待ちにまったはじめての東京文化会館。朝からわくわく。 1961年竣工の建物は前川國男設計。打ちっぱなしコンクリートに、落ち葉をイメージしたタイル床、舞台両袖の大小さまざまのブナ材レリーフが独特の雰囲気をつくる。座席幅はきゅうきゅう。加藤周一は、…

【音】オルガンプロムナードコンサート(サントリーホール 2022/06/09)

お昼のα波タイム。この日は、バッハ、カルク=エーレルト(1877-1933)、メシアン(1908-92)、エベン(1929-2007)から。オルガンは小田龍一郎さん。 カルク=エーレルトはドイツの作曲家。グリーグに認められ、シェーンベルクやドビュッシーに心酔。“その影…

【美】THE GREATS スコットランド国立美術館展(東京都美術館)

1859年開館のスコットランド国立美術館の作品からルネサンス以降を中心に展示。ラファエロ、グレコ、ベラスケス、レンブラント、ブーシェ、スーラ、ルノワールなど。習作も多数展示。音声ガイドは天海祐希さん。 はいって一枚目、「グラスマーケットから見た…

【映】ポンヌフの恋人(レオス・カラックス)

ウォッチリストから。マノンレスコーを読んでいて、なぜか思い出して観る。1991年、125分、フランス。「存在の耐えられない軽さ」「トリコロール 青の愛」「ショコラ」で有名なジュリエット・ビノシュ出演。 立ち入り禁止のポンヌフ橋で生活する大道芸人アレ…

【本】資源争奪の世界史(平沼光)

エネルギー史に興味を持ちまずライトな感じのものを図書館で。 著者は、東京財団の研究員。エネルギー関係の国の部会委員も務める。本著は、エネルギー≒化石燃料、という観念をはらい、広く資源の観点から、覇権争いの歴史を整理。サブワードは、スパイス、…

【本】マダム・エドワルダ(バタイユ著、中条省平訳)

積読から。開くとまず、吸い込まれる。 “きみがあらゆるものを恐れているなら、この本を読みたまえ。だが、その前に断っておきたいことがある。きみが笑うのは、なにかを恐れている証拠だ・・・” 娼館で出会ったマダム・エドワルダ、語り手の不安と脆弱が彼…

【本】神曲 地獄篇(ダンテ作、平川祐弘訳)

タイムズ誌の文芸付録で「過去千年間の最高傑作はなにか?」と文芸批評家にしたアンケートで選ばれたらしい本作。聖書を除けば、歴史上の最高傑作、という評なのかもしれない、キリスト教世界においては。原題はイタリア語で“La Divina Commedia”。はじまり…

【映】たかが世界の終わり(グザヴィエ・ドラン)

ドラン作品。英題は、It's Only the End of World 。2016年、99分、カナダ・フランス合作。レア・セデュー、ヴァンサン・カッセル、私はロランスのナタリー・バイ、エディット・ピアフのマリオン・コティヤールといった面々。主演のギャスパー・ウリエルは本…

【本】愛(苫野一徳)

直球タイトル。哲学の意義は、本質を洞察し原理を提示することとし、愛をその対象とする。 “わたしたちのうちにありありと感じられる愛の感情、体験。その本質を内省によって洞察し、それが真に普遍性を備えたものであるかどうかを確かめること。このような…

【本】ハイデガーの思想(木田元)

一度挫折した「存在と時間」。100de名著で扱われていたので再チャレンジ→やはり挫折→入門書に変更。 著者は、ハイデガー、フッサール、メルロ・ポンティの研究で知られる。新書といえどもなかなかの読み応え。講演録まで射程に含め、ハイデガーの思想を、「…

【映】大統領の料理人(クリスチャン・バンサン)

フランス映画は続けてみたくなる。シェルブールの傘に続き、ウォッチリストから。クリスチャン・バンサン監督、カトリーヌ・フロ主演、2012年、94分、フランス。 片田舎でレストランを営むオルタンス。突然、大統領の私的会合での料理人をつとめることになる…

【映】シェルブールの雨傘(ジャック・ドゥミ)

ウォッチリストから。ジャック・ドゥミ監督、カトリーヌ・ドヌーヴ主演、17回カンヌでパルムドール。音楽は、“愛と哀しみのボレロ”も担当したミシェル・ルグラン。1964年、91分、フランス。 1957年フランス港町シェルブール、愛し合う若い二人、17歳の傘店の…

【本】これからの「社会の変え方」を、探しに行こう。(SSIR Japan)

ソーシャルイノベーション系から一冊。2003年に創設されたスタンフォードソーシャルイノベーションレビュー(SSIR)の刊行記事から、タイトルにちなんだ10編を掲載。 米MBAスクールでは今世紀初頭からソーシャルイノベーション、ビジネスエシックス、社会起…

【音】オルガンプロムナードコンサート(サントリーホール 2022/05/12)

お昼のα波タイム。この日は、フランク(1822-1890)“6つの作品より第2曲「交響的大曲」嬰ヘ短調作品17”。オルガンは梅干野安未(Ami Hoyano)さん。 フランクについて。“フランクはベートーヴェン以降のドイツロマン派音楽、特に同時代のリストやワーグナー…

【本】月と六ペンス(サマセット・モーム、金原瑞人訳)

積読から旅のおともに。モームの代表作(1919)。新潮文庫Star Classics 名作新訳コレクション。軽快で平易な新訳がよい。装丁もグッド。 モーム(1874-1965)は、パリで生まれ、10歳で孤児となり、イギリスにわたり従軍、本作で作家として注目される。平易…

【美】柳沢正人、花暦、収蔵名作展(成川美術館)

こぶりな4部屋でそれぞれ展示。見晴らす芦ノ湖、庭園のつつじ、おなじみの雰囲気。 柳沢正人、“鮮烈な色彩とダイナミックな表現で世界各国の歴史的建造物や自然遺産を描きつづける”。欧州の建築物を背景に彫刻を前景に置く。分断される奥行き感、一見、コラ…

【美】モネからリヒター(ポーラ美術館)

“光”をテーマに、所蔵コレクションと近年の新収蔵作品を合わせて展示。充実した作品集。GWということもあり多数の来館者、モネの集客力。 はいるとすぐにルノワールの“レースの帽子の少女”、日本画から一気に西洋画、油彩画、印象派モードに。モリゾの“ベラ…

【美】花鳥風月 名画で見る日本の四季(岡田美術館)

恒例の箱根美術館めぐり。“春の桜、初夏の牡丹に燕子花、秋の紅葉に冬の雪”。自然に親しみ、行事・風物を通じこれを愛でる瞬間を大切にしてきた日本。日本の絵画を中心に、工芸品を合わせて展示。光琳、抱一、歌麿、北斎、春草、御舟、若冲、田中一村などな…

【本】現代の金融入門(池尾和人)

ロングセラーの改訂版(2010)。ニュースの背景を捉えたいけど、数式・理論まで学ぶのはちょっと、という人にお薦めの一冊。言葉の定義、解説が明瞭。入門書かくあるべし。 著者は元慶応大学経済学部教授、国の審議会委員歴任、バブル崩壊時に審議会委員とし…

【美】鏑木清方展(東京都国立近代美術館)

日曜美術館を見ていて、会期が迫っていることに気づく。大手町から皇居沿いを歩く。散歩日和の五月。没後50年の記念展、2018年に再発見された“築地明石町”を含む大規模回顧展。西の松園、東の清方。音声ガイドは尾上松也さん、とてもよかった。 清方芸術の柱…

【映】友だちのパパが好き(山内ケンジ)

talksessionyandsさんの紹介をみて興味惹かれて鑑賞。いやぁ、いい映画でした(感謝)。山内ケンジ監督・脚本、2015年、105分。山内氏、CMの人と思ってたが、映画も作っていたことを知る。 大学生の娘と両親の3人家族。不幸とまではいえないが、幸せとはいえ…

【映】神々の深き欲望(今村昌平)

ウォッチリストから一作。今村昌平監督、三國連太郎主演、1968年、175分。 今村監督といえば、“楢山節考”と“うなぎ”でパルムドール。いずれも授賞式に出席せず、楢山では戦メリの下馬評を覆し話題になった。 土俗の習慣で営まれる南の孤島「くらげ島」。神聖…

【本】大いなる遺産(C.ディケンズ、加賀山卓朗訳)

海外古典(?)文学に手が伸びる春。なんとなくディケンズ(1812-1870)。原題は、Great Expectation。新潮文庫のstar classicsシリーズ。落着きある装丁、質感もよいし、文字も読みやすい。加賀山氏の翻訳、登場人物の人柄がしみじみはいりこんできていいね…