2022-01-01から1年間の記事一覧
エネルギー史に興味を持ちまずライトな感じのものを図書館で。 著者は、東京財団の研究員。エネルギー関係の国の部会委員も務める。本著は、エネルギー≒化石燃料、という観念をはらい、広く資源の観点から、覇権争いの歴史を整理。サブワードは、スパイス、…
積読から。開くとまず、吸い込まれる。 “きみがあらゆるものを恐れているなら、この本を読みたまえ。だが、その前に断っておきたいことがある。きみが笑うのは、なにかを恐れている証拠だ・・・” 娼館で出会ったマダム・エドワルダ、語り手の不安と脆弱が彼…
タイムズ誌の文芸付録で「過去千年間の最高傑作はなにか?」と文芸批評家にしたアンケートで選ばれたらしい本作。聖書を除けば、歴史上の最高傑作、という評なのかもしれない、キリスト教世界においては。原題はイタリア語で“La Divina Commedia”。はじまり…
ドラン作品。英題は、It's Only the End of World 。2016年、99分、カナダ・フランス合作。レア・セデュー、ヴァンサン・カッセル、私はロランスのナタリー・バイ、エディット・ピアフのマリオン・コティヤールといった面々。主演のギャスパー・ウリエルは本…
直球タイトル。哲学の意義は、本質を洞察し原理を提示することとし、愛をその対象とする。 “わたしたちのうちにありありと感じられる愛の感情、体験。その本質を内省によって洞察し、それが真に普遍性を備えたものであるかどうかを確かめること。このような…
一度挫折した「存在と時間」。100de名著で扱われていたので再チャレンジ→やはり挫折→入門書に変更。 著者は、ハイデガー、フッサール、メルロ・ポンティの研究で知られる。新書といえどもなかなかの読み応え。講演録まで射程に含め、ハイデガーの思想を、「…
フランス映画は続けてみたくなる。シェルブールの傘に続き、ウォッチリストから。クリスチャン・バンサン監督、カトリーヌ・フロ主演、2012年、94分、フランス。 片田舎でレストランを営むオルタンス。突然、大統領の私的会合での料理人をつとめることになる…
ウォッチリストから。ジャック・ドゥミ監督、カトリーヌ・ドヌーヴ主演、17回カンヌでパルムドール。音楽は、“愛と哀しみのボレロ”も担当したミシェル・ルグラン。1964年、91分、フランス。 1957年フランス港町シェルブール、愛し合う若い二人、17歳の傘店の…
ソーシャルイノベーション系から一冊。2003年に創設されたスタンフォードソーシャルイノベーションレビュー(SSIR)の刊行記事から、タイトルにちなんだ10編を掲載。 米MBAスクールでは今世紀初頭からソーシャルイノベーション、ビジネスエシックス、社会起…
お昼のα波タイム。この日は、フランク(1822-1890)“6つの作品より第2曲「交響的大曲」嬰ヘ短調作品17”。オルガンは梅干野安未(Ami Hoyano)さん。 フランクについて。“フランクはベートーヴェン以降のドイツロマン派音楽、特に同時代のリストやワーグナー…
積読から旅のおともに。モームの代表作(1919)。新潮文庫Star Classics 名作新訳コレクション。軽快で平易な新訳がよい。装丁もグッド。 モーム(1874-1965)は、パリで生まれ、10歳で孤児となり、イギリスにわたり従軍、本作で作家として注目される。平易…
こぶりな4部屋でそれぞれ展示。見晴らす芦ノ湖、庭園のつつじ、おなじみの雰囲気。 柳沢正人、“鮮烈な色彩とダイナミックな表現で世界各国の歴史的建造物や自然遺産を描きつづける”。欧州の建築物を背景に彫刻を前景に置く。分断される奥行き感、一見、コラ…
“光”をテーマに、所蔵コレクションと近年の新収蔵作品を合わせて展示。充実した作品集。GWということもあり多数の来館者、モネの集客力。 はいるとすぐにルノワールの“レースの帽子の少女”、日本画から一気に西洋画、油彩画、印象派モードに。モリゾの“ベラ…
恒例の箱根美術館めぐり。“春の桜、初夏の牡丹に燕子花、秋の紅葉に冬の雪”。自然に親しみ、行事・風物を通じこれを愛でる瞬間を大切にしてきた日本。日本の絵画を中心に、工芸品を合わせて展示。光琳、抱一、歌麿、北斎、春草、御舟、若冲、田中一村などな…
ロングセラーの改訂版(2010)。ニュースの背景を捉えたいけど、数式・理論まで学ぶのはちょっと、という人にお薦めの一冊。言葉の定義、解説が明瞭。入門書かくあるべし。 著者は元慶応大学経済学部教授、国の審議会委員歴任、バブル崩壊時に審議会委員とし…
日曜美術館を見ていて、会期が迫っていることに気づく。大手町から皇居沿いを歩く。散歩日和の五月。没後50年の記念展、2018年に再発見された“築地明石町”を含む大規模回顧展。西の松園、東の清方。音声ガイドは尾上松也さん、とてもよかった。 清方芸術の柱…
talksessionyandsさんの紹介をみて興味惹かれて鑑賞。いやぁ、いい映画でした(感謝)。山内ケンジ監督・脚本、2015年、105分。山内氏、CMの人と思ってたが、映画も作っていたことを知る。 大学生の娘と両親の3人家族。不幸とまではいえないが、幸せとはいえ…
ウォッチリストから一作。今村昌平監督、三國連太郎主演、1968年、175分。 今村監督といえば、“楢山節考”と“うなぎ”でパルムドール。いずれも授賞式に出席せず、楢山では戦メリの下馬評を覆し話題になった。 土俗の習慣で営まれる南の孤島「くらげ島」。神聖…
海外古典(?)文学に手が伸びる春。なんとなくディケンズ(1812-1870)。原題は、Great Expectation。新潮文庫のstar classicsシリーズ。落着きある装丁、質感もよいし、文字も読みやすい。加賀山氏の翻訳、登場人物の人柄がしみじみはいりこんできていいね…
ドラン作品がみたいと思い新作。兼主演、120分、2019年、カナダ。 友人の妹の自主製作映画に出演し、ディープキスをすることになったマットとマックス。それを機に二人の感情は揺らいでいく。マックスが海外に旅立つまでの2週間、呼びさまされた感情、過ぎて…
読んでこなかったニーチェ(1844-1900)。“ツァラトゥストラ”を手にするには、木を見て森を見落としそうな気がして入門書。入門書いろいろあれど、本書は、ニーチェの生涯、キーワード解説、著作解題ととてもよいバランス。ニーチェ自身の病の経験から、思索…
娘がまだ小さかったころ、よく読み聞かせした一冊。アニメーションを発見。アニメが先だったらしい。12分のheartful piece。 読み聞かせでは、登場人物や情景への想像にひたっていった。アニメでは、最初は観察的に、だんだん自分に重ね、思い出にいざなわれ…
理解が求められる隣国。20世紀以降の点でしか教科書に登場しない国、農奴・社会主義革命・シベリア・冷戦・ピョートル一世・ドストエフスキー・レーニン・チョムスキー・シャガール・ガガーリン・ボルシチくらいしか思いつけない国。いまになって、よくこれ…
Primeでちらりと観てはまった。コミックは、2016-2020少年ジャンプ掲載。 仕組まれて、囲われて、定められた子供たち。カズオイシグロの”Never let me go“や、押井守の”スカイ・クロラ“を想起するが、本作の設定はスケールが壮大。子供たちの共同体に、15少…
「第57回壁外調査」でとまっていたものを、amazon primeとコミック併用で読了。いやはや、ものすごい物語だ!構想のスケールに脱帽。2009-2021少年マガジン掲載。 人類の再生、亜種との生存競争、父親殺し、始まりの存在、異なる正義の衝突、といった人が紡…
こんなすごい人がいたのか、と鳥肌がたった。新たな数学世界の創造の時代にある。サブタイトルは“abc予想証明をめぐる数奇な物語” 積は素因数分解でその“遺伝子(因数)”がわかるが、和はそうではない。ある数学者が掛け算と足し算の関係を偶然見つける(ABC…
黒川先生の最新刊。堀やん、誠やんコンビが、今度は金塊強奪事件にくらいつく。 ほかに読む“べき”本があるのはわかってるが、家族の外食の誘いも断り、捧げたかの週末に悔いなし。 黒川作品の中毒性について考える。疾走感、タフネス、漫談、因果応報。張り…
仕事の参考にUXの本を何冊か図書館から。 著者はUXコンサル。中国での経験が長く、本著の事例も中国のものが豊富。 読書というか、調べもののような読み方をした。2年前の本だが、新事業の世界はこの5年ですっかり様変わりした(UX、デザインスプリント、プ…
完結したらまとめ読みしようと思ってそのままになってた。DMMで大人借り。 “動物版青春ヒューマンドラマ”という新領域。作者の長編デビュー作、チャンピオン連載(2016-2020)、コミックス全22巻。お父さんは刃牙の板垣恵介氏。 肉食草食の分断が常に漂う動…
角川つばさ文庫大好きな娘と訪館。館長は松岡正剛。氏渾身のエディットタウンは一度見たいと思っていた。建築は隈研吾。建築物はまるで巨大なモノリスのよう。壁面には、鴻池朋子の「武蔵野皮トンビ」がお出迎え。 独創的な図書空間のエディットタウン、ライ…